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キャリア開発支援のためのメールマガジン…vol.145(2025年2月号)…

■□■━━【コラム】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 キャリア・カウンセラー便り"塩原知子さん"です。

  ◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの

   近況や情報などを発信いたします。◆

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発達障害とキャリア支援              塩原 知子

 昨年はパリ・オリンピック、パラリンピックが開催され世界中に興奮の渦が巻き上がり
ました。私自身テニス愛好家でもあることから、パラリンピックで大活躍した選手のひとり、
小田凱人(おだ ときと)さんが車いすテニスで金メダルを獲得したことにとても感動
しました。
今では彼はテレビコマーシャルにもよく登場しています。
このようにメディアの視点や取り上げ方にパラリンピックとオリンピックに大差がなく
なったと思うのは私だけでしょうか?
 これは、世界中が多様化社会を目指して進んでいる中、日本も最近急速に多様化が
進んでいる証だと思います。多様化社会の中では平等の権利だけでなく、公平の権利が
重要で、まさに彼は車いすという道具を使うことで、だれもがテニスを楽しむという
公平の権利を取得し、さらに自身の血のにじむような努力で金メタルを獲得できたの
だと思います。

 私は長年英語教育に携わっており、子供たちに英語を好きになってもらうためには
教授法のみならず、コミュニケーションが大切だと思い、コミュニケーションスキルとカ
ウンセリングを学び、その後キャリアコンサルタントの資格を取りました。

中でもキャリア教育に興味を持ち、大学のキャリア授業にわずかながら関わることも
ありました。その後コロナ禍になり、発達障害児のためのNPO法人から相談員の依頼を
受け、現在は相談支援専門員として保護者の相談を受け、また発達障害児の療育指導員
としてもかかわっています。

 発達障害には、おもな症例として自閉症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、
学習障害(LD)などがあり、一つに限定することが難しく、自閉症スペクトラムという
名称が使われています。ASDの特徴は他人との関係作りやコミュニケーションなどが
苦手だったり、こだわりが強かったりということがあります。

ADHDは落ち着きがないとよく言われますが、際立って優れた能力が発揮されることがあり、
周りから見てアンバランスな様子が理解されにくいことがあります。
優れた能力が発揮されて世界には活躍している人がたくさんいます。
例えば、歴史上の人物で言うと、トーマス・エジソン、モーツアルト、坂本龍馬はADHD
であったと言われ、アルバート・アインシュタイン、レオナルド・ダヴィンチ、織田信長は
ASDおよびアスペルガー症候群であったと言われています。

 人はだれしも脳機能にはばらつきがあるものですが、発達障害はその脳機能の極端な
アンバランスから表出するもので、それは特性と言われています。
しかしながら、そのアンバランスが軽く表出しにくい人は社会で職を得て自立していく
ことができるでしょうが、環境によっては、仕事をうまくこなすことができず、休職に
追い込まれる場合もあります。
このような場合、キャリアコンサルタントとして発達障害の特性を理解して、その人の
ストレングスを生かす支援をすることが求められているのではないでしょうか。
特性は脳機能の一つであるので、修正することはできず、特性を理解して、それに合った
方法で改善していくことが重要です。

 ここである会社に入社したAさんのことを紹介したいと思います。
彼は国立大学を首席で卒業し、入社選考では筆記知識問題テストは完璧でしたが、
グループワークではなかなか発言できない様子があったものの、高学歴と高得点が
決め手で採用されました。入社後、新人研修では優秀さを発揮し、製品の理解度テスト
では満点、営業のトークスリプトを完璧に覚え、商品のプレゼンでは、詳細にわたり
商品の理解をした上で完璧なプレゼンをしました。
上司から高い評価を受けたこともあり、営業課に配属されたのですが、現場に出ると
お客さんとのコミュニケーションがうまくいかず、クレームが出ることもしばしば
ありました。架電記録や業務日報を詳細に記録するため、大幅な残業を余儀なく
されました。上司からはもっと要領よく作業するように言われてもAさんはやり方
を変えることができませんでした。
入社から半年が過ぎたころ、なかなか成果がないまま、体調を崩し3か月の休職をした
後、自分にはこの会社が合わないという理由で退職することになりました。

上記の事例から何が考えられるでしょうか?
Aさんの知的能力はとても高く優秀でしたが、コミュニケーションが得意でないという
特性があり、会社や上司はそれを理解していなかったことが考えられます。
もしAさんの特性を理解していれば、営業以外の部署に配属できたのではないでしょう
か。Aさんのストレングスを十分に活用できる、例えば開発部門などに配属できたかも
しれません。
発達障害についての理解を深めることは、企業にとっても従業員にとっても重要なことの
一つであります。特にキャリア支援では、発達障害を理解していることがクライアントの
いろいろな課題を解決していく上で大切な要因になります。

発達障害者の特性は顕著に表れわかりやすいですが、定型発達した誰しも微妙に特性
らしきものを持っており、その人の性格や癖として表出します。このように障害の有無に
かかわらず、様々な個性を相互理解することが求められ、これからの多様化社会では、
人種、性別、障害の有無などいろいろな価値観のある人々がお互いを尊重し、共存して
いくことが今後の大きな課題となることでしょう。

キャリアコンサルタントとして、この課題解決のために一助を担っていかれれば幸いです。

◆おわり◆