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キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
最近のキャリア・コンサルタントとしての活動を通して感じていることについてお伝えします。
私がキャリア・コンサルタントになり10年今日の日々が過ぎてきました。
その中で、私自身の活動領域が随分変化してきていることを感じます。
一般的にキャリア・コンサルタントの活動領域としては
【人事コンサルティング】【企業・組織内におけるキャリア開発支援】【需給調整機関における職業相談/紹介】【学校におけるキャリア開発及び職業相談】などがあります。<キャリア・コンサルティング技能検定2級テキスト&問題集(テクノファ著)>
これから何回かに分けて、私がこれまでキャリア・コンサルタントとして関わってきた活動領域や今後の課題・展望について、順を追って書かせていただきたいと思っています。
1)職業訓練における支援
私がキャリア・コンサルタント養成講座を終了し、実務に取り組み始めた最初のころは自社が実施している職業訓練講座の中での就職活動や進路決定に関わることが主な内容でした。
履歴書や職務経歴書など応募書類の書き方や個別面談が中心でした。
今振り返るとキャリア・ガイダンスの入り口といったところでしょうか。
キャリア開発の理論も十分に自分のものにできておらず、日々のカリキュラムをこなし、訓練生の就職活動の支援をする日々でした。
ほとんどの訓練生が地元での就職を希望しており、地元企業を訪問しながら情報収集やネットワークづくりをしていきました。
職業訓練を進めていく中で、キャリアの転換点における訓練生の心理、自己理解や人間理解力の重要性に対する理解も深まって行ったと思っており、次第にカウンセリングに関する自己研鑚も進んでいきました。
2)若者支援
次に取り組んだのが、ニート・フリーターの若者や大学の卒業生を対象にしたカウンセリングでした。これは国が実施している若者支援策の一環として行われたものです。
担当したクライエントと定期的(ほとんどが毎週同じ曜日・時間)にカウンセリングをし、進路選択や就労につないでいくための支援です。
担当した数年の間にたくさんの若者と出会い、自立に向けた活動に一緒に取り組んでいました。
その間に、全国の支援者が集まる場で、パネリストやファシリテーターを務めさせていただく経験もすることができ、視野も広がった時期でもあります。
同時に、他のカウンセラーのカウンセリング場面に同席させていただく機会もあり、また多くのカウンセリングを実施していく中で、カウンセリング理論を学び直し、実践することを繰り返せる恵まれた環境でもありました。この時期にカウンセラーとしての土台が作れたのではないかと思っています。
3)評価者育成への取り組み
国の「ジョブ・カード制度」の開始と同時に、職業能力開発協会の委託によりジョブ・カードの中の評価シートに関わる仕事にも取り組ませていただきました。
主な業務は評価シートの作成に関するアドバイスや企業内でOJTに関わる方への評価のやり方に関するアドバイスを行うものです。
鹿児島の中小企業では、この制度を活用しながら人材育成をしたいと考えても、職業訓練や評価に関するノウハウを持っていない(スキルを持った人材がいない)企業が多く、制度普及のためにも、企業における評価制度の導入推進のためにも、キャリア・コンサルタントとしての支援が必要な場面が多いようでした。
この活動により、キャリア開発や人材育成に関して、直接企業の方々とお会いし考え方や必要性をお伝えすると共に、企業の現状や考えもお聞きすることができました。
企業が何を求め、どんな課題を持っているのかについて知るきっかけにもなり、キャリア・コンサルタントとして企業や組織に向けてどのような支援が必要なのか、そのために身につけなくてはならないスキルを整理することにも繋がっています。
さて、今回はこの辺で失礼します。
次回は大学におけるキャリア教育/キャリア開発支援についてお伝えしたいと思います。
おわり~
キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
企業からの相談案件に【評価】を巡るものが増加傾向にあります。
前回のメルマガに引き続き【評価】について考えてみます。
前回は【時間軸】を通して評価の目的を見てみました。
今回はそれぞれの欲求と評価との関係を見てみようと思います。
欲求については「マズローの欲求5段階説」が広く知られています。
人の欲求は下位のものから
「生理的欲求」→「安心・安全欲求」→「社会的欲求」→「承認欲求」→「自己実現欲求」と5つの欲求を順々に満たそうとします。
私は企業や組織におけるマネジメントや評価の場面では、それぞれのメンバーがどの欲求を満たそうとしているかを分かっていることが、成果につながるカギを握っており、更に個人の成長にもつながると考えています。
私が活動している日本キャリア・カウンセリング研究会(JCC)がキャリア開発を広げていく上で基本的拠り所としている【24図】の中には、「欲求次元と管理次元」の関係について解説しているもの(図2:横山哲夫氏による)があります。
この図ではそれぞれの欲求を、マネジメント上のそれぞれの施策と関連付け具体的な指針を示してくれています。
詳細の解説は省略しますが、【評価】と【個人の成長】という視点で見てみると
【承認欲求】⇒【目標による管理(MBO)】
【自己実現欲求】⇒【キャリア開発】
という関連があります。
承認欲求に対応するMBOでは、
目標は上司や組織とのすり合わせを経て、本人が自分で決めます。
自分で決めるからこそ、成果を出そうと努力するし、結果も出しやすくなります。
そして、成果に対する評価も納得感を得られやすくなるのではないでしょうか。
個人にとっては自分の目標を達成することで、自分のやったことへの評価に納得し、さらなる成長を目指すのだろうと思います。
結果に対する適正な評価が、個人の満足感とモチベーションに繋がるのです。
そして組織は、その人が目標を達成できるよう支えていくことが大切な役割だと思います。
自己実現の欲求に対するキャリア開発では、個人が「なりたい自分」を自覚することが大切だと思います。
なりたい自分を発見し、そうなるための課題を明確にし、仕事を通してなりたい自分に成長していくことが、個人にとってのキャリア開発になるのです。
組織は個人のキャリア開発について考え、その意味を理解し、適材適所を実現することでより強い組織へと成長していくのではないでしょうか。
そしてその人にとってのキャリア開発の意味を理解するためには、【評価】や【評価面談】によって得られた情報が手がかりになっていくのではないかと感じています。
おわり~
キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
企業からの相談案件に【評価】を巡るものが増加傾向にあります。
主な相談内容は
*評価結果がマンネリ化している
*評価に対する納得感が得られない
*それぞれの評価にバラつきが見られる
といったことがあります。
いずれにしても、する側も、される側も、評価そのものの必要性は感じているものの、どのようにすればいいのかについて不安や迷いを感じている方が多いようです。
先日ある企業から依頼された評価者向けの2時間の研修では、以下のような項目についてお話しました。
【1】評価の目的を明確にする
【2】評価項目の意味を定義し、理解する
【3】フィードバックのやり方を工夫する
それぞれについて簡単に触れさせていただくと以下のようになります。
【1】評価の目的を明確にする
一般的には半年か一年ごとに評価が行われることと思いますが、時間軸のどこに焦点をあてるかによって、評価される人に与える影響が変わってくるのではないかと考えています。
*能力、仕事ぶりを評価する場合
これまでの実績をもとに評価することになります。やってきた結果を評価することになるので、評価される人にとっては、結果責任を問われる感覚になるのではないでしょうか。
「過去」に焦点をあてて評価すると考えることもできると思います。
過去のことですので、これから挽回することはできない部分になります。
その際、人事考課と結びついていく場合は、評価そのものが「ノルマ」や懲罰的なものとして受け取られそうです。
*個人の課題について明らかにする場合
現時点での仕事ぶりを確かめ、今の状態で目標達成に繋がるのかについて確認することになります。
課題を明確にすることで具体的な行動変容・改善に繋ぐこともできそうです。
「現在」に焦点をあてた評価であり、すぐ行動に移すことも可能で、結果にも結びつきやすくなるのでは無いでしょうか。
*目指す人材像に合わせ能力開発につなぐ場合
この場合は「将来」に焦点をあてて評価することになります。
今後の仕事上の目標や成長の方向性、キャリア目標を考えるきっかけにもなります。
これから目指す人材像に近づくために、個人がどのように努力し、企業はどのように支援していくのかの話し合いもできるでしょう。
評価することがキャリア開発につながっていくのではないでしょうか。
【2】評価項目の意味を定義し、理解する
評価については公平さ、公正さが求められますが、実際には評価のバラつきや中心化傾向などが出て不満感を感じる人も多いようです。
評価者はそれぞれの「ものさし」を持っており、評価項目に対する受け取り方も異なります。私は評価項目について評価者間で話し合い、共通理解を深めていくことが重要だと思っています。
中央職業能力開発協会の職業能力評価基準にはそれぞれの項目と行動を対比した「判定目安表」があり、このようなツールを参考にしながら語り合っていくことで「共通のものさし」づくりに繋がるのではないかと思っています。
【3】フィードバックのやり方を工夫する
評価に対する納得感を高めるためには、結果のフィードバックが欠かせません。
適切なフィードバックを実施することで、個人の仕事上の課題や目標を明確にし、個人と組織が共通の目標達成に向け具体的に行動していくことが可能になると思っています。
フィードバックの質を高めるために、評価者の面接力を高める施策にも是非取り組んでいただきたいと考えています。
ご相談いただいた企業の方々と、上記のようなことについて話し合いや検討を重ねながら、私なりに「個人と組織の共生」を進めていけるよう日々取り組んでいきたいと思っています。
おわり~
キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
「キャリア・カウンセリングの役目」
キャリア・コンサルタントとして、求職者、企業の管理者、従業員の方々を対象にしたキャリア・カウンセリングを実施することが増えています。
それぞれの方々の「仕事のこと」や「働くこと」についてお聴きする中で、キャリア・カウンセラーとしての役割について色々考える場面があります。
また、職業訓練指導員講習【48時間講習】や導入レベルのキャリア・コンサルティング講習で講師を担当する際にも、「相談」や「面談」について解説します。
先日も職業訓練指導員講習で「訓練生の心理」という章を担当した時、訓練生が抱える課題とキャリア発達理論について解説しました。
その中で「エリクソンの心理社会的発達課題」についての部分があり、人が生きていく中での「危機」(転換点、分岐点)における肯定的な面と否定的な面との葛藤を取り上げました。
心理社会的発達課題の考え方は、人生を8つの発達段階(乳児期、幼児期初期、遊戯期、学童期、青年期、成人前期、成人期、老年期など)に分け、それぞれに発達課題(葛藤)があるとしています。人はその発達段階に応じた課題を解決していくことで「強さ」を獲得できます。「強さ」を獲得するには、葛藤を自分の力で克服することが重要であり、直面する発達課題に対して向き合い、成功と失敗の両方を体験し乗り越えていくことで次の発達課題への準備が整う、というものです。
もし自分の発達段階に応じた課題を解決していけないと、次の発達段階での成長に影響(ゆがみ)が生じるとしています。
人は成長していくに従って、成長段階に相応しい様々な課題に直面し、悩んだり不安になったりする中で、自分の力で乗り越えていくことが大切である。
その課題を避けたり、解決を先延ばしにすることは、その人の成長の妨げになる、ということなのではないかと思っています。
このような考え方を通してキャリア・カウンセリングを考えると、カウンセラーはクライエントの「葛藤」に焦点を当てて話を聴くことで明確にし、クライエントが自らの置かれた状況を整理できるよう支援する役割を持っているのではないでしょうか。
そしてカウンセラーが解決策を考え、アドバイスすることで解決に向かうより、クライエントが自分自身の葛藤・発達課題を理解し、成功や失敗を体験しながら乗り越えていくことで必要な強さを獲得できるようサポートすることが重要なのだと思います。
現在のように、社会の変化が激しい中では、自分の身に降りかかった課題や葛藤に対して、どのように向き合えばいいのか見失い、混乱する場面もあると思います。
一人で向き合うことを不安に感じたり、どうすればいいのか決断できない状況に陥ったりすることもあると思います。
キャリア・カウンセリングではクライエントの転換点に共に立ち、どちらの道を選択するのか、どちらに進んでいきたいのか、について対話を重ね、クライエントが自分で決め、その結果を引き受けることができるよう寄り添っていくものなのかもしれません。
そして、獲得した「強さ」を頼りに、自分の人生の次の課題に向き合っていけるよう支えていくことが大切なのではないかと思っています。
おわり~
キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
「フィードバックの効果」
私は様々な講座で「自分のことを話してみる」グループワークを実施しています。
一番の機会は、就職活動中の方々対象の「就活セミナー」です。
私は就職活動で結果を出すためのポイントは「自己理解の質」にあると思っていますし、採用面接やグループディスカッションでも、きちんと自分のことを言葉にしていく場面があります。
最近では、経営者や管理職、総務人事関係の方々向けのキャリア開発支援のための研修でも「自己理解」と「自分のことを話す」ワークを体験していただくことが多く、体験する中で新たな発見や気づきを得ていただける場面もあります。
人は「自分のことを話す」ことで、自らを見つめ直すことにもなり、適切な自己表現の訓練にもなっていきます。そして、ワークでの体験が、より深く本人にとっての新しい可能性への気づきにもつながっていくために欠かせない要素としてほかの参加者からの【フィードバック】があります。
フィードバックは、話し手にとっては、自分の話の伝わり方を確認したり、自分の本当の気持ち・価値観に気づいたり、自分自身に気づいたりできる効果があります。
また、聞き手にとっては、フィードバックする体験を通して、自分の感情の表し方や聴くことの練習にもなり、自分の自己表現の傾向にも気づくことにつながるようです。
さらに双方にとって、お互いの「違い」に気づくことになりますし、相互理解が深まり、人間関係を作っていく上で大きなステップにもなっていきます。
このように、重要なフィードバックではありますが、実際にグループワークで実践していただくと、「難しい」「どうすればいいかわからない」など戸惑いを感じる方が多くいらっしゃいます。
初めて体験する方にとっては難しさを感じることが多いです。
適切なフィードバックができるようになるためには、グループワークを何回も体験して練習することが一番なのですが、いくつかコツがあると思っています。
それは
1)話し手が言いたいことは何か、わかろうとするように聴く
2)話し手の感情に集中し、場面を想像しながら聴く
3)自分が感じたこと、理解したことを、自分の言葉でまとめる
4)自分の気持ちを率直に伝えてみる
といったものです。このようなことを意識しながら、繰り返し体験していくことでフィードバックする力が身に付きます。
さらに自分の言葉でフィードバックできるようになると、信頼関係づくりにもつながっていきます。講座参加者の方々には、以上のようなことを伝えながらフィードバックすることを試していただいています。
また、私が実施しているカウンセラーの方々向けの勉強会では、フィードバックの中でも特にパラフレージングについて演習して頂く場面を設け、言葉の選び方や感じたことの伝え方を学び合っていくようにしています。
クライエントの言葉から感じたこと、理解したことを、カウンセラーが自分の言葉で伝え返すことは、クライエントの自己理解を深め、課題解決に向けて進んでいくためには欠かせないことです。
以上のように、人と関わる場面で大切な【フィードバック】について、今後も多くの方々に伝えていき、仕事や生活の中で活用していただけるよう広げていきたいと考えています。
おわり~
キャリア・カウンセラー便り"池元正美さん"
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◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回は"池元正美さん"です。◆
「自分自身を振り返る」
3月末の連休に日本キャリアカウンセリング研究会(JCC)主催の【CDW-F1】を受講しました。CDWとはJCCが実施しているキャリア開発ワークショップのことで、そのファシリテーターの認定を受けるための第一歩となる講座です。
私が初めてCDWに触れたのは、
10年前のキャリア・コンサルタント養成講座の中でのワークショップでした。
その後JCC会員になり、養成講座の講師や地元鹿児島や企業で実施されたCDWの事務局としても参加してきましたが、今回さらにキャリア開発についての理解を深めたいと思い、ファシリテーターを目指す人向けのこの講座を受講したのです。
二日間の講座で、それぞれのワークの狙いや背景となる理論を学び直すことができ、活動していく上で広範に応用できる知識を得ることができました。
また、講座に合わせて、10年前に自分が書いたシートを振り返ってみる機会でもありました。駆け出しのキャリア・コンサルタントとして活動を始めたばかりの私は、キャリア開発に関する理論や考え方も不十分で、ただひたすら学び、チャレンジしていた時期でした。
ワークショップのへ参加をきっかけに、JCCの活動を通して色々な方々と出会い、学び、実践していくことにつながりました。
いわば、私にとっての原点でもあると思っています。
この二日間、解説を聞き考えながら、自分が書いたことも見直してみたのです。
その中で、今の私にとって重要なヒントを自分自身が書いてあることを発見し、様々なことに気づくことができました。
今の私に必要なメッセージを10年前の44歳の自分が書いていたのかな~
と感慨深いものがありました。
いくつか紹介すると、
*自分らしくありたいと思っている
*50歳から53歳がその後の基本をつくると思っていた
(今、54歳になり、自分の方向性が明確になってきたような気がしていたのと、
偶然つながっています)
*言葉の力を身に着け、表現していきたいと思っていた
*大学で学生に教えたいと思っていた
(その時は起業やビジネスについて教えたいと思っていたが、
現在キャリア関連科目を教えて4年目を迎えています・・・)
その他にも、いろんなことを書いています。
不思議な感じです。
CDWの場で、自分と向き合い、自分のことを文字にしてみることで、目指す方向を自分で選択できるようになっていたのかもしれません。
【自分】について書いてみることは自己理解を深め、自分のキャリアを考える上でとても重要な時間なのかもしれません。
おわり~