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キャリア・カウンセラー便り"藤田恒夫さん"
◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。◆
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■過労自殺の二ユースに触れて
就労支援の現場では、キャリアコンサルタントとして精神疾患に罹りながら就労を目指す方との面談を頻繁に行いますが、精神疾患に悩まされている方の多さに驚かされます。
最近、大手広告会社に勤務する社員が過労から自殺したニュースが報道されました。
"うつ病"の発症による自殺とみられています。
亡くなられた方は昨年入社された女性社員とのことで、将来に夢を持たれて社会人をスタートされたことを思うと言葉がありません。
日本を代表する大企業においても、未だこのような自殺が繰り返されていることが残念でならないのと同時に"うつ病"の恐ろしさを再認識させられます。
せめて、"うつ病"に対して職場の管理者を含め働く人達が正しい認識をもっていたら、自殺は未然に防げたのではないでしょうか。
話は変わりますが、日本における自殺者はどのような状況なのかご存知でしょうか。
平成10年に3万人を超えた自殺者はその後14年間多少の増減をしながら3万人台で推移します。
そして、様々な対策が効を奏してか平成24年に2万人台に減少し昨年は2万4千人余りとなっています。
自殺者は確実に減少してきましたが、企業の中でも労災といて認定される自殺は減少しているのでしょうか。
調べてみると、平成27年の精神障害による自殺者(未遂を含む)は労災請求199人に対し、93人が支給決定され、10年前に比べて倍以上に増加していました。
行政によりメンタルへルス対策の指針が出されたりワークライフバランスが叫ばれ、今般企業に義務付けられたストレスチェックの実施などが進められても、企業では未だ問題は解決していないのが実態のようです。
コスト削減で社員が少ない、グローバル化で企業競争が一層厳しい、全ての仕事にスピードを要求される、IT含め技術革新の進展・・・、人を大切に育成する余裕もなく、業績を上げることに主眼が置かれ社員に目が届いていないのかもしれません。
もし、企業に所属する方がいましたら自分の職場をチェックしてみてください。
では、働く人達の"うつ病"に対する認識はどうでしょう。"うつ病"は心の病気ではなく脳の病気であり、過剰なストレスにより脳内の神経伝達物質の減少が原因です。
そして、この病気は誰にでも罹る可能性があると言われています。"うつ病"に罹りやすい人は真面目、几帳面、責任感が強い等の性格傾向があり、総じて"頑張りやさん"と言ってよいでしょう。
私は今まで沢山の"うつ病"に罹った人に接してきましたが、怠け者でいい加減な人に会ったことがありません。
企業は、そもそも、"頑張りやさん"を好んで採用しているはずです。
誰でも"うつ病"を発症する可能性があると言われるのはこのような理由からです。
そして、恐ろしいのは、そんな性格の人が仕事を任され頑張りすぎてメンタル不全に陥った時です。
皆さんは"うつ病"に罹った人に対してどのようなイメージをお持ちですか。
この病気に罹る人は、「弱い人」「仕事ができない」…と、かつてはネガティブなものばかりでした。
最近は研修などで正しく認識されるようになりましたが、誤った知識で "うつ病"に罹った人に接している人が多いのも現実です。
そのために、不幸にも"うつ病"に罹った人は、「弱い」「仕事ができない」といった烙印を押されたくない一心でこの病気を隠し深刻化してしまう傾向があります。
その対策に客観的に把握できるツールを活用し病気に気付いて専門医を受診できる仕組みをつくったり、周囲の人が気づいてあげて"うつ病"の渦から引っぱり出してあげる必要があります。
前述の大企業で亡くなった方は新入社員で高学歴であったとのことですが、不安を抱えながらも周囲の期待に応えようと一生懸命仕事に向かい、ヘルプを出したくても出せなかったのではないでしょうか。
"うつ病"は心のカゼと言われますが、決して軽視できる病気ではなく、意欲や興味を失わせ自殺をも想起させる危険な病気です。
「病気について知ったところで仕事が減るわけでもないだろう」という方もいると思いますが、ヘルプを出せば打つ手はあるかもしれません。
我々キャリアコンサルタントはその支援者として、身動きが取れず悩みもがいている人を渦の中から助け出す役割も担っており、今後この役割は更に重要度を増すことでしょう。
真に命を賭してやらねばならない仕事ってどんな仕事でしょう?
皆さんの目の前にそのような仕事は存在しますか?
おわり
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キャリア・カウンセラー便り"藤田恒夫さん"
◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。◆
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◆カウンセリングとケースワーク
4月からキャリアコンサルタントが国家資格になったとのこと。
既に養成講座を経て合格された方は、忘れずに手続きしましょう。
1級・2級技能士の方も今後キャリアコンサルタントの名称を使用されるために登録が必要とのこと、こちらも登録されたほうが良さそうです。
さて、資格を取得した方が先ず悩むことは、何処でこの資格を活かしていくかではないでしょうか。
実践なくしてキャリア支援やカウンセリングを身に付けることは不可能ですし、時間が経過して忘れてしまっては元も子もありません。
早く実践の場を見つけていただきたいと思います。
就労支援に携わって間もない方がこんな悩みを話されることがあります。
「カウンセリングで意欲を上げてから具体的な求人を紹介しようとしているが、仕事の話をしても"のらりくらり"で面談が進まない。
どうしたらいいのでしょうか?」この支援者は一生懸命学んだカウンセリングでこの方の問題を解決しようとしたが上手くいかず、打つ手が無くなってしまったということらしい。初心者に限らずよくあることです。
以前、こんな方に出会ったことがあります。
持病で仕事を辞めて生活保護を受けるようになり10年数年が経過。面談では「もうすぐ60歳、身体の○○が悪い、△△も悪い、こんな年と身体で働けるところなんてないよ!」と開き直って噛み付く始末。
確かに年齢といつ倒れるか分からないような状態では就職は極めて難しい。
面談は膠着(こうちゃく)し担当者がどうしたらよいか私に相談してきた。
治る見込みの無い持病とつき合って10年以上働いていない人が、市の職員から「仕事をしなさい」と指導されても、「それじゃすぐ働きます」とはいかない。
就労意欲は長年の歳月で微塵もなくなってしまったかもしれません。
実はこの類の事例は枚挙にいとまが無いんです。
すっかり意欲が失せてしまっていたり、職員から言われて渋々やって来て"就職活動をやっている"様に取り繕う人等、本音を隠して何食わぬ顔をして目の前に現れます。
この方は、以前はそれなりに仕事に向き合って頑張っていた過去があり、10数年何もしなかったわけではなく、就職を目指した時期もあったとのこと。
しかし、病気と年齢を理由に不採用が続きすっかり戦意を喪失して前に進むことが出来なくなってしまったようです。
意欲を持って就職活動に入る前に整理しなければならないことがあったんです。
その後この方がどうなったかというと、今までの苦労を聴いた後、長期のブランクでサビついたスキルを磨くために研修の参加を提案し、渋々ながら参加されました。
やがて求人の紹介を受け入れるようになり、そして、再び面接を受け続け、ついに就職することができたんです。同じ境遇の人との交流も大きな刺激になったようです。
私は支援する方によく
「支援対象者の状態によっては、切るカードを変えなければならない」と話します。
支援対象者の自立度や状況によっては具体的に教えたり、提案したり、時には面接にも同行する場合も必要となります。
皆さんはケースワークという言葉をご存知でしょうか。
例えば障害を持った方が日常生活を送るために、動かせる部分をトレーニングして失った機能を補完させるか、ヘルパーをつけるか、施設を活用するか等といったことを支援対象者を尊重し、様々な資源を活用して問題解決を図っていく、そんな福祉の分野での活動を指します。
アサーショントレーニングで有名な平木典子先生の著書『カウンセリングの話』
にそんな話が書かれていましたのでご紹介します。
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具体的にいうと、個人的な問題を持った人が現れたときに、それが精神的・心理的な問題のときはカウンセリングを行なうが、その精神的、心理的問題が、それ以外の問題との関係の中で起こってくるとケースワークが必要になる。
~ 中略 ~
カウンセリングが適応や変容や精神的問題を中心にして、内面から個人を援助しようとする働きだとするならば、ケースワークは、そのような働きも含みながら、社会的資源を活用した援助の働きだといえる。ケースワークの中にはコンサルテーションも含まれており、さらに人と人、機関と個人の間をつなぐ仕事も含まれている。すなわち役所と個人、あるいは父親と母親、子供と父親など家族間、さらに家族とそれ以外の人や場をつなぐ仕事である。
以上
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と、いうことで、私もカウンセラーという名称にこだわらず、様々な引き出しをもって、それぞれにマッチした支援ができるよう努力はしているつもりですが、これが、なかなか難しいんですね、、、、皆さんは如何でしょうか?
おわり