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キャリア開発支援のためのメールマガジン…vol.153(2025年10月号)…

■□■━━【コラム】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

 キャリア・カウンセラー便り"佐々木大河さん"です。

  ◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの

   近況や情報などを発信いたします。◆

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成果を超えた価値を探す旅 ― 子どもたちから教わったこと ―

 こんにちは。テクノファのキャリアコンサルタント養成講座第45期卒の
佐々木大河と申します。

 私は認定NPO法人NEXTEP(ネクステップ)という組織に在籍し、
不登校やひきこもり経験のある若者たちのキャリア支援に取り組んでいます。
また、NEXTEPでは、重症心身障害児や医療的ケア児と呼ばれる子どもたちが
地域で暮らせるよう、訪問看護や通所支援事業所の運営など、様々な環境づくり
も行っています。

 皆さんの身近に、重症心身障害を持つ方はいらっしゃいますか?

 彼らは自分の足でどこかへ行くことも、言葉を使って気持ちを表現すること
も困難です。今のところ、一般の就職やアルバイトといった選択肢はほとんど
ありません(将来的には、テクノロジーがこの状況を変える可能性はあります)。
その意味では、彼らは社会の中で一般的な「生産性」で評価されがちな枠組みとは
なじまないかもしれません。
 一方で、彼らと日常的に関わる中で、私たちはたくさんの気づきを与えてもらい、
人生を豊かにしてもらっていると実感しています。彼らの存在そのものが、社会に
大切なことを教えてくれていると思うのです。

彼らが教えてくれること

 彼らとの日々の関わりを通して、私たちは言葉にならない共感力や無条件の愛と
いった、数値化できない価値に気づかされます。彼らは言葉を話せない代わりに、
筋肉のわずかな緊張や緩み、呼吸や心拍の変化でコミュニケーションを取ります。
その微細なサインを読み取ろうと最大限の注意を払うプロセスは、私たち自身の
感受性を磨き、相手の心に寄り添う力を高めることにつながります。
 また、彼らは何かを「与える」ことで評価されることはありません。
彼らの存在そのものが、そこにいるだけで価値を持っています。
この関係性は、見返りを求めない愛を私たちにもたらし、忙しい日々の中で見失いがちな
人間の尊厳を再認識させてくれます。彼らから、人の本質に関わるような大きなギフトを
受け取っているように思うのです。

キャリアコンサルティングとの関係性から考える

 私たちキャリアコンサルタントが関わるクライエントは、多くの場合、
職業や社会的役割(例えば親として子をまっとうに育てなきゃ!だとか)
という目に見える成果を求められる世界に生きています。
だからこそ、理想と現実のギャップに苦しむことがあります。
そのような方を支えるにあたって、私は前述した子どもたちとの関わりから、
大切な学びを得ていると感じています。

 キャリアコンサルタントの役割の一つは、クライエントが持っている、
そもそもの存在としての価値に光を当て続けることではないでしょうか。

 傾聴の過程では、「うれしい」「つらい」といった感情に光を当て、言語化し、
本人が認識できるように手伝います。また、もやもやとした感覚や葛藤にも言葉を与え、
その人が発する考えと、そのきっかけになった体験を明らかにしていきます。
これらの人としての営み一つひとつを、リスペクトをもって受け取り、
つまり**「尊い」**ことをクライエントと共に確認していくのです。
この積み重ねこそが、クライエントが尊厳を取り戻し、次に一歩を踏み出す土台を
固めることにつながります。

 成果や生産性といった目に見えやすいアウトプットではない、もっと手前の
尊厳そのものを大切にする世界を生きること。
これは私が個人的に大切にしているコンセプトですが、
この考え方を力強く支えてくれるのが、前述したような子どもたちとの出会いでした。
彼らはその存在を以て、私にキャリアコンサルティングの真の価値と意味を
教えてくれているように感じています。

おわり