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■□■━━【コラム】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
キャリア・カウンセラー便り"田光智行さん"です。
◆このコーナーは、活躍している「キャリア・カウンセラー」からの
近況や情報などを発信いたします。◆
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自衛官の定年退職後の再就職に向き合う
こんにちは、テクノファの養成講座44期の田光(たこう)と申します。
私は、元自衛官で約30年間、主に航空機の維持整備などの部門で勤務をしてきました。
自衛隊の退職直前は、自衛官の再就職支援の実務を担ってきました。
自衛官の定年退職は50代後半で、他の公務員より若くして定年を迎えます。
自衛官は、定年退職後の生活に不安をいだくことなく、最後まで任務にまい進できるよう
にするため、国の施策として、定年退職をする隊員には、再就職支援をすることが制度化
されています。私は、正に50代後半の隊員の再就職支援の実務者でした。
内閣官房の資料によると、令和元年~5年度までの平均では、自衛官の定年退職者数は
約4,300人で、その内、再就職支援の希望者は約3,200人であり、そして、ほぼ全員
(98.5%)が再就職することができます。ところが、1年以内の離職率が約17%に上ると
公表されています。
高い就職決定率と早期の離職率が併存するわけです。
再就職支援の実務者であり、キャリアコンサルタントの顔を持つ私にとって、
「これはどういうこと?何を意味するのか?」との疑問が出発点となって、ここ2年間は、
自衛官の定年退職者の再就職先での定着率向上に何ができるかの研究をしてきたように
思います。
まだまだ道半ばではございますが、ここでは、その一部を紹介し、定年退職を迎える
シニア自衛官の特徴、それを理解するためのキャリア支援策などに触れ、読者の皆様の
自衛官の理解にお役立てできればと思います。
また、ここで記載する内容は、自衛隊組織の見解ではなく、私個人の見解であることを
最初にお断りしておきます。
自衛隊で管理職を担ってきた隊員の共通する特徴
私は再就職支援の現場で、管理職の50代の隊員からよく耳にする言葉は、
「自分は、資格を持っていないので民間で働けない」、
「退職後は再就職支援を通じて、どこかの会社に拾ってもらうしかない」
などマイナスをイメージさせる発言が非常に多い(私の経験では自信、期待という
プラスのイメージの発言は皆無)ということです。
この発言には、資格があれば仕事が得られるという資格偏重思考、自分の経験は民間に
通用しないという思い込みが感じられます。そして、再就職の準備をはじめたいが、
何の資格を取ればよいか?との質問が非常に多く寄せられます。
ところで、自衛隊には様々な仕事があります。海上自衛隊であれば水上艦艇、潜水艦、
哨戒・輸送ヘリ、固定翼哨戒機を運航する隊員、地上で整備、補給、経理、厚生、警備
などに携わる隊員がおります。私が再就職支援の現場で直接の支援対象としたのは、
それぞれの部隊で艦長・隊長、さらにその上の司令といわれるような方々で、
数十~数百人の隊員を束ねてきた指揮官の経験者です。
さて、それでは、潜水艦の艦長経験者は、民間企業でどんな貢献ができるのでしょうか、
また、どんな仕事に就くことで充実感が味わえるのでしょうか。
この問いに、隊員自身が自分の言葉で答えられるようにすること??それが支援の真の
出発点だと考えています。
自衛官の再就職支援で欠かせない出発点
自衛官が「経験を生かして再就職する」には、第一歩として「何の資格を取ればよいか」
に対するアドバイスではなく、「過去の経験の価値、意味づけを言語化し、
民間で通用する言葉に翻訳し、自分のできること(Can)を伝えるとともに、
やりたいこと(Will)も伝える」ことだと考えています。
これまでは、定年退職3年前頃の隊員を対象に国の再就職支援の内容と現状、マナー講習、
OB講話、企業研修を中心に3日程度の講習を行っておりました。その半年から1年後に
職種、年収、勤務地の希望調査を行い、再就職先を取り次ぐ支援をしておりました。
この流れの中では「自己理解」は、個人任せになっており、いわゆる、
自己理解、仕事理解というプロセスは体系立って存在していませんでした。
昨年度からは3日程度の講習内容を大幅に変え、自己理解に重心を置くプログラムに変更
しました。
自己理解のワークでは、経験の棚卸しを通じて、そこから見えてくる自身の価値観、
こだわり、再現性のある行動、スキルを自覚し、言語化することや、また、
人生で成しえたい夢、目標を夢想し、どんな存在として社会に価値貢献をしたいのかを
問うワークも取り入れました。
さらに希望者にはキャリアコンサルティングを受ける機会を作ることとしました。
もちろん、資格取得のために努力をすることは否定しませんが、実務経験を伴わない資格は、
必ずしも肯定的に受け取られるわけではないことも伝えるようにしています。
まだ走り出したばかりの施策ではありますが、受講者から
「自分にもできそうな気がしてきた」、
「民間に出ていくことが楽しみと思えるように準備を進めたい」、
「これまでは提示された再就職先に進むことが規定路線と考えていたが、自ら探したい」
などのフィードバックを得ることができました。
なお、プログラム変更後の定着率への効果については、現在も継続してデータを
収集・検証している段階です。
今年度は、私の後任者が、さらにバージョンアップをして講習を行う準備を進めている
ところです。
そして私は、元自衛官として、また、自衛官のキャリア支援を行う個人事業主として、
微力ながらも防衛省・自衛隊の活動に関与をしております。
今回は自衛官の特殊性ゆえの苦労という部分もあるとは思いますが、一つの企業で
長く働いてきた方の役職定年後の転職などにも通じる所があるかもしれないと
思い書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。
おわり