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安全・安心社会の構築についての最終回です。安全の目的が、事故防止だとすれば、安心の目的は心を安がらせることです。心の持ちようは、人それぞれであり、保険を例にすると、基本的プランで満足の人もいれば、様々なオプションを付けなければ不安な人もいます。一方、安全はもう少し客観性が必要です。「気を付ければ大丈夫」と主張されても多くの人は、納得しません。例えば猛犬を鎖で繋いだ状態のように客観的に見て、事故の確立等が低減されている必要があります。「安全」は客観性が必要で、「安心」は主観的要素が強いということです。
●土砂災害対策
我が国は、平地が少なく急峻な地形と脆弱な地質が広く分布しており、さらに経済の発展・人口の増加に伴い、丘陵地や山麓斜面にまで宅地開発等が進展しています。その結果、土砂災害のおそれのある箇所は令和5年3月末時点で約68万箇所存在することが明らかとなっており、多くの人々が土砂災害の危険にさらされています。また、豪雨や地震等に伴う土砂災害は、過去10年(平成25年~令和4年)の平均で、1年間に約1,440件発生しており、5年も 1,471件の土砂災害が発生し、死者が8名となるなど、多大な被害が生じています。今後の気候変動に伴う降雨の増加による土砂災害の頻発化・激甚化を踏まえ、従来の土砂災害防止施設整備による事前防災対策や、土砂災害警戒区域等の指定及び標識の設置等による土砂災害リスクに関する周知に加えて、林野部局 と連携した流木対策や、まちづくりの計画と一体的に実施する土砂災害対策等、関係部局と連携した効率的・効果的な土砂災害対策を推進しています。 また、人工衛星等を活用した土砂災害状況等の把握も強化しており、令和6年能登半島地震等では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定に基づいて人工衛星による被災地域の緊急観測を実施し、土砂移動等が発生したと推定さ れる箇所を早期に把握し、地方整備局による迅速な被災状況調査を実施しました。
○根幹的な土砂災害防止施設の整備
近年の大規模な土砂災害では、人命だけでな く道路やライフライン等の公共インフラが被災 し、応急対策や生活再建に時間を要する事例が多数生じています。土石流や土砂・洪水氾濫等の大規模な土砂災害から、人命はもちろん地域の社会・経済活動を支える公共インフラを保全するため、土砂災害防止施設の整備を推進しています。
●火山災害対策
○活発な火山活動に伴う土砂災害への対策
火山噴火活動に伴い発生する火山泥流や降雨による土石流等に備え、被害を防止・軽減する砂防堰堤や導流堤等の整備を進めている。また、継続的かつ大量の土砂流出により適正に機能を確保することが著しく困難な施設は、除石等を行い機能の確保を図っている。
火山噴火活動に伴う土砂災害は、大規模となるおそれがあるとともに、あらかじめ噴火位置 や規模を正確に予測することが困難であることから、被害が大きくなる傾向にある。このた め、活発な火山活動等があり噴火に伴う土砂災害のおそれがある49火山を対象として、事前の施設整備とともに噴火状況に応じた機動的な対応によって被害を軽減するため「火山噴火緊急減災対策砂防計画」を策定し、訓練等を通じて適宜見直しを進めている。また、「活動火山対策特別措置法」においては、火山防災協議会の構成員となる都道府県及び地方整備局等の砂防部局が、噴火に伴う土砂災害の観点から火山ハザードマップの検討を行うこととなった。 そのため、「火山砂防ハザードマップ(火山ハザードマップのうち、土砂災害に関するもの)」 を整備することにより、火山防災協議会における一連の警戒避難体制の検討を支援している。火山噴火の際に噴火前後の比較による迅速な状況把握を可能とするため、測量用航空機に搭載したSAR観測機器を用いて、全国の活動的な火山を対象とした周期的な観測を実施している。 また、火山噴火リアルタイムハザードマップシステムの整備を行い、浅間山や富士山をはじめとした16火山を対に運用するなど(令和 5年度末時点)、噴火時に自治体を支援する取組みを推進している。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
○気象庁における取組み
火山噴火災害の防止と軽減のため、全国111 の活火山について、火山活動の監視を行い、噴火警報等の迅速かつ的確な発表に努めています。 そのうち50火山については、観測施設を整備し、24時間体制で火山活動を監視しています(常時観測火山)。 また、平成26年9月の御嶽山の噴火災害を踏まえた「活動火山対策特別措置法」の改正等 による火山防災協議会の必須構成員として、警戒避難体制の整備に必要な事項である噴火警戒 レベルについて、火山災害警戒地域に指定され ている49火山すべてで運用するとともに改善を進めています。
●津波対策
○津波対策の推進
南海トラフ巨大地震等による大規模な津波災害に備え、最大クラスの津波に対しては「津波 防災地域づくりに関する法律」に基づき、ハー ドとソフトの施策を組み合わせた多重防御による対策を進めており、津波浸水想定の設定、ハザードマップの作成支援、津波災害警戒区域等の指定、推進計画の作成、避難計画の立案等において地方公共団体を支援している。 また、地方公共団体の津波防災地域づくりに関する取組みを支援する相談窓口を国に設け、 ワンストップで相談・提案を行う体制を構築している。
海岸の津波対策においては、堤防の損傷等を軽減する機能を発揮する粘り強い構造の海岸堤 防等の整備や耐震化、水門・陸閘(りっこう)等の統廃合や 自動化・遠隔操作化等のハード対策を行うとともに、水門・陸閘等の安全かつ確実な操作体制の構築等のソフト対策を推進している。水門・ 陸閘等については、「海岸法」において操作規則の策定を義務付けるとともに、平成28年4月に補訂した「津波・高潮対策における水門・ 陸閘等管理システムガイドライン」により、現場操作員の安全の確保を最優先した上で、津波・高潮等の発生時に水門等の操作を確実に実施できる管理体制の構築を図っている。
港湾の津波対策においては、大規模津波発生時にも港湾機能を維持するため、「粘り強い構造」の防波堤の整備や航路啓開訓練、大規模災害発生後における緊急物資・救援部隊の輸送等の海上交通ネットワーク確保等、防災・減災対策を推進している。また、津波防災等の分野で顕著な功績を挙げた方々を表彰する「濱口梧陵国際賞」授賞式を開催し、津波防災に係る普及啓発活動を行っている。
道路の津波対策においては、避難誘導標識システムの整備、地域住民の方々と避難訓練等を実施し、防災機能の強化を図っている。 空港の津波対策においては、津波被災の可能性のある空港において、津波被災後に早期に緊急物資・人員の輸送拠点機能を確保するための、地震・津波に対応する避難計画・早期復旧 計画を策定し、計画に基づき避難訓練等の取組みや関係機関との協力体制構築等の取組みを推進している。
鉄道の津波対策においては、南海トラフ巨大 地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要 な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめており、鉄道事業者における取組みを推進している。
そのほか、切迫する巨大地震・津波等に備え、津波浸水リスクの高い地域等において、河川堤防のかさ上げ、液状化対策、復興まちづくりの事前準備等を推進している。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
●地震対策
○住宅・建築物の耐震・安全性の向上
令和12年までに耐震性が不十分な住宅を、7年までに耐震性が不十分な耐震診断義務付け対象建築物を、それぞれおおむね解消とする目標を達成するため、「建築物の耐震改修の促進 に関する法律」に基づき、耐震診断義務付け対象建築物の耐震診断結果の公表等により耐震化 の促進を図っている。住宅・建築物の耐震化については、耐震診断及び耐震改修等に要する費用の補助、税制優遇、融資等による支援を行うとともに、耐震診断義務付け対象建築物については、重点的な支援を実施している。ブロック塀等については、所有者等に向けた安全点検 チェックポイントの周知を行うとともに、耐震 診断や除却・改修等に要する費用への支援等により、安全確保の推進を図っている。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
○宅地耐震化の推進
地震等による盛土造成地の滑動崩落や宅地の液状化による被害を防ぐため、宅地耐震化推進事業により地方公共団体が実施する変動予測調査を支援するとともに、大規模盛土造成地における宅地被害の再度災害防止等、宅地の安全性確保についての対策を支援しています。
○被災地における宅地の危険度判定の実施
地震等により被災した宅地における二次災害を防止し、住民の安全確保を図るため、被災後 に迅速かつ的確に宅地の危険度判定を実施できるよう、都道府県・政令市から構成される被災宅地危険度判定連絡協議会と協力して体制整備を図っています。
○密集市街地の改善整備
防災・居住環境上の課題を抱えている密集 市街地の早急な改善整備は喫緊の課題であり、「地震時等に著しく危険な密集市街地(危険密集市街地)」(約1,875ha、令和4年度末)について令和12年度までに最低限の安全性を確保し、おおむね解消することとしています。 また、地域防災力の向上に資するソフト対策について、令和7年度までに、すべての危険密集市街地で実施されることを目標としています。この実現に向け、幹線道路沿道建築物の不燃化による延焼遮断機能と避難路機能が一体となった都市の骨格防災軸(防災環境軸)や避難地となる防災公園の整備、防災街区整備事業、住宅市街地総合整備事業、都市防災総合推進事業等による老朽建築物の除却と合わせた耐火建 築物等への建替え、避難や消防活動に資する狭あい道路の拡幅等のハード対策及び感震ブレー カーの設置や防災マップの作成、訓練の実施等の地域防災力の向上に資するソフト対策を推進しています。
(つづく)Y.H