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実践編・応用編

日本における安全・安心社会の構築 3

投稿日:2025年4月2日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、安全・安心社会の構築についてお話しします。安全の目的が、事故防止だとすれば、安心の目的は心を安がらせることです。心の持ちようは、人それぞれであり、保険を例にすると、基本的プランで満足の人もいれば、様々なオプションを付けなければ不安な人もいます。一方、安全はもう少し客観性が必要です。「気を付ければ大丈夫」と主張されても多くの人は、納得しません。例えば猛犬を鎖で繋いだ状態のように客観的に見て、事故の確立等が低減されている必要があります。「安全」は客観性が必要で、「安心」は主観的要素が強いということです。

■災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化

●水害対策
我が国の大都市の多くは洪水時の河川水位より低い低平地に位置しており、洪水氾濫に対する潜在的な危険性が極めて高い。これまで、洪水を安全に流下させるための河道拡幅、築堤、ダム等の治水対策により、治水安全度は着実に向上してきている。しかしながら、令和5年6月の梅雨前線による大雨や台風第2号及び8月の台風第7号等、近年毎年のように水害が発生 している。今後の気候変動による水害の頻発化・激甚化も踏まえ、河道掘削、築堤、ダムや遊水地などの河川整備等の加速化を図るとともに、流域全体を俯瞰し、国・都道府県・市町村、地元企業や住民などあらゆる関係者が協働 してハード・ソフト対策に取り組む「流域治水」の取組みを強力に推進する必要がある。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

○計画的に実施する治水対策
気候変動等に伴う水害の激甚化・頻発化を踏まえて、事前防災対策を計画的に実施すること が重要です。このため、築堤、河道掘削、遊水地、放水路、ダム等の整備を計画的に推進しています。そのうち、既存ストックの有効活用と して、ダムの貯水容量を増加させるためのかさ上げや放流設備の増設による機能向上等のダム再生、大雨が見込まれる場合に利水容量の一部を事前に放流して空き容量を確保する事前放流等に取り組んでいます。 また、人口・資産が高密度に集積している首都圏・近畿圏のゼロメートル地帯等の低平地において、堤防決壊による甚大な被害を回避するため高規格堤防の整備を実施しています。高規格堤防はまちづくりと一体となって整備を行い、幅を広くなだらかな勾配で堤防を整備することにより、堤防の決壊を防ぐとともに、高台の避難場所としての機能や良好な住環境・都市空間が 提供されるなど多様な効果の発揮が期待されています。

○水害の再度災害防止対策
激甚な水害の発生や床上浸水の頻発により、人命被害や国民生活に大きな支障が生じた地域 において、再度災害の防止を図るため、河川の流下能力を向上させるための河道掘削や築堤等を短期集中的に実施しています。

○流域の特性等を踏まえた様々な治水対策
a 流域関係者が連携した流域での取組み
集水域においては、公共に加え、民間による 雨水貯留浸透施設の整備促進や水田に降った雨を貯留する仕組み(「田んぼダム」)、ため池の活用、また特定都市河川流域における貯留機能保全区域の指定等により流域での貯留を強化し、河川への雨水の流出を抑制することで氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策を推進しています。また、氾濫域における土地利用や住まい方についての対応も重要です。例えば、災害危険区域や特定都市河川流域における浸水被害防止区域の指定等による災害リスクを抱えた地域において発災前の段階からより安全なエリアへの住居や施設の移転、人口動態や土地利用等を踏まえた居住誘導、立地適正化計画の防災指針に基づく居住の安全性強化等の防災対策を推進し、安全なまちづくりを促進していきます。

b内水対策
近年、計画規模を上回る局地的な大雨等の多発や、都市化の進展による雨水流出量の増加など、内水氾濫の被害リスクが増大している。こ のため、河道掘削等の水位を下げる取組みや、雨水幹線やポンプ施設等の下水道整備をはじめ、雨水流出抑制対策などのハード対策の加速化に加え、特定都市河川制度を活用した浸水リ スクが高い区域における土地利用・住まい方の工夫、内水ハザードマップの作成、止水板や土のうの設置等のソフト対策の充実により、流域のあらゆる関係者が一体となった総合的な浸水 対策を推進している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

○水防体制の強化
水防管理団体等と連携し、出水期前に洪水に対しリスクの高い区間の共同点検を実施するとともに、水防技術講習会、水防演習等を実施 し、水防技術の普及を図るなど、水害による被害を最小限にするための水防体制の強化に向け た支援を行っています。 また、市町村地域防災計画に位置付けられた浸水想定区域内の地下街等(建設予定・建設中のものを含む。)、要配慮者利用施設、大規模工場等における避難確保・浸水防止計画作成等の取組みを支援しています。

○自衛水防の取組みの推進
市町村地域防災計画に定められた高齢者施設 等の要配慮者利用施設については、「水防法」 及び「土砂災害防止法」により、当該施設管理 者等に洪水等に対する避難確保計画の作成及び 避難訓練の実施が義務付けられています。また、令和3年の「水防法」及び「土砂災害防止法」 の改正により、要配慮者利用施設における避難 の実効性確保のため、避難確保計画や避難訓練 の結果報告を受けた市町村長が施設管理者等に対して必要な助言・勧告を行うことができる制度が創設されました。国土交通省としては、水災害の防止・軽減を図るため、こうした自衛水防の取組みを推進していきます。

○洪水時の予報・警報の発表や河川情報の提供
国土交通大臣又は都道府県知事は、流域面積が大きい河川で洪水によって国民経済上重大又は相当な損害が生じるおそれのある河川を洪水予報河川として指定し、気象庁長官と共同して水位又は流量を示した洪水予報を発表している。令和5年5月31日に公布された「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律」により、国から都道府県に対して都道府県管理河川の水位予測情報を提供する仕組みが構築され、都道府県管理河川でもバックウォーターを考慮 した長時間先の水位予測情報の活用が可能となることにより、新たな洪水予報河川の指定促進、洪水予報の早期化が期待される。また、洪水予報河川以外の主要な河川を水位周知河川と して指定し、洪水時に氾濫危険水位(洪水特別警戒水位)への到達情報を発表している。令和5年3月末現在、洪水予報河川は429河川、水位周知河川は1,774河川が指定されている。さらに、国が管理する洪水予報河川を対象に洪水情報のプッシュ型配信も行っている。このような河川を対象にした情報のほか、洪水によって災害が起こるおそれがある場合に、国土交通省令で定める予報区を対象に気象庁は洪水警報等を発表している。

雨量観測については、適切な施設管理や防災活動等に役立てるために、高分解能・高頻度に集中豪雨や局地的な大雨を的確に把握できる国土交通省XRAIN(高性能レーダー雨量計ネッ トワーク)での観測を行っており、インター ネット上でもほぼリアルタイムなレーダー雨量情報の提供を行っている。 また、国管理河川においては、災害の切迫感をわかりやすく伝えるため、雨量や観測水位を基に、河川の上下流連続的な水位を推定し、堤防等の高さとの比較により危険度を表示する、洪水の危険度分布(水害リスクライン)を公表 している。また、洪水予報河川以外の河川を対象に、河川の上流域の降雨が地表面や地中を 通って河川を流れ下る流量を指数化し、過去の災害時の指数値と比較して洪水危険度を表した 「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」を公表しており、これらの洪水危険度を気象庁ウェブサイトにおいて一体的に表示している。なお、この「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」においても、危険度が上昇したときに、希望者向けのプッシュ型通知を民間事業者と協力して実施している。

河川の水位やカメラ画像、洪水予報、水防警報等の河川情報や、河川の水位に影響を及ぼす雨量等の気象データや気象警報等の発表状況については、国土交通省「川の防災情報」ウェブ サイトより、リアルタイムで河川管理者、市町村、住民等に提供を行っており、洪水時の警戒や避難等に役立てられている。また、河川の水位等の河川情報をデータ配信し、民間企業によりウェブサイトやアプリを通 じて配信する等、メディア等と連携した防災情 報の発信を推進するとともに、アプリ等を活用して離れて暮らす家族の住む地域の防災情報をプッシュ型で入手し、直接電話をかけて避難を呼びかける「逃げなきゃコール」等により、住民の適切な避難行動等を支援する取組みの高度化を図っている。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

○水害リスク情報の充実
令和3年の「水防法」改正により、住宅等の防護対象のあるすべての一級・二級河川につい て、想定最大規模の降雨に対応した洪水浸水想定区域の指定・公表の対象に追加されました。都道府県が実施する洪水浸水想定区域の指定・公表及び市町村が実施する洪水ハザードマップの作成・公表について、防災・安全交付金により支援します。 洪水浸水想定区域については、洪水予報河川及び水位周知河川の約100%において指定・公表済みであり、洪水ハザードマップに いては、この浸水想定区域を含む市町村の約 99%で作成済みです。 ハザードマップは、住民の避難に役立つこと が期待されている一方、情報の理解には一定のハードルがあるとともに、利用者の多様な特性に対応できていないため、ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会を行い「わかる・伝わる」ハザードマップのあり方につ いて報告書を取りまとめ、公表するとともに、 「水害ハザードマップ作成の手引き」を改定し、 市町村へ周知しています。この取組みの一環とし て「重ねるハザードマップ」のウェブサイトを改良し、誰でも簡単に災害リスクと災害時に取るべき行動が分かるよう公開しています。
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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