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前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。
●鉄道車両工業
鉄道新造車両の生産金額は、国内向けは平成28年度から増加傾向である一方、輸出向け はその年の受注状況によって波があります。令和4年度の生産金額は2,542億円(1,798両)でした。生産金額の構成比は国内向け79.6%(2,023億円)、輸出向け20.4%(518億円)であり、前年度比は国内向け9.7%減少、輸出 向け37.7%増加でした。また、鉄道車両部品(動力発生装置、台車等)の生産金額は3,769億円(前年度比6.9%減、信号保安装置(列車自動制御装置用品、電気連動装置等)の生産金額は1,282億円(前 年度比11.6%増)となっています。車両メーカー等は、鉄道事業者と連携し、高速化、安全性・快適性等の向上、低騒音・バリアフリーといった様々な社会的ニーズを満たす車両の開発を進めています。
■自動車運送事業等の動向施策
●旅客自動車運送事業バス事業(乗合・貸切)、タクシー事業については、新型コロナウイス感染
症の拡大等により、輸送人員・運送収入が大きく減少し、厳 しい経営状況が続いています。また、長引くコロナ禍において全国的に運転者が不足しており、バス・タクシー合わせて2年で約5.5万人の運転者が減少しており、地域 住民や観光客の移動手段確保の観点からも危機的な状況であります。こうした運転者不足を解消するため、令和5年度補正予算におて、第二種運転免許取得支援を含む人材確保支援を実施することとしました。具体的には、事業者が負担する第二種運転免許取得費用に加え、人材確保セミナーの開催経費やPR資料の作成等の広報業務等についても補助対象としており、不足する人員を事業者が確保するために必要な支援を行うこととしています。また、自動車運送事業の給与水準は他産業に比べて低く、職業としての魅力を高めるためにも賃金を上げていくことが重要です。 そこで、乗合バスについては、令和5年までに、人件費の算出方法の見直しや地方運輸局への認可権限の大幅な委任と申請書類の簡素化による審査の迅速化を行い、事業者による賃上げ等の労働条件改善を目的とした積極的な運賃改 定の実施を促し、令和2年4月以降令和5年末までに、84事業者で運賃改定がされた。
また、タクシーについては、運賃ブロック見直しにより、定期的な改定を可能とする環境整備に取り組んでおり、令和2年4月以降令和5年度末までに93地域で運賃改定を実施し、賃金引上げに向けた取組みを進めています。 また、貸切バスについても、令和5年8月に新運賃の公示を行い、10月より順次適用開始 されたところであり、今後、運賃改定後の賃金の引上げ等の状況について、適切にフォローアップしていくこととしています。 他方、主に訪日外国人旅行者を相手として行われる、道路運送法(昭和26年法律第183号) に違反する自家用車を使用したタクシー行為、いわゆる「白タク」行為については、関係府省庁と連携して対応してきたところであり、令和 5年度には、コロナウィルス感染症に起因する水際対策が緩和された以降、訪日外国人旅行者 が増加している状況を踏まえ、白タク対策を強化しているところです。
●自動車運転代行業
自動車運転代行業は、飲酒時の代替交通手段 として活用されており、令和5年12月末現在、 総事業者数7,707者となっています。近年の動向 としては、利用料金について、各都道府県に対 して条例で最低利用料金を設定することが可能 である旨の通知を発出したところです。
●貨物自動車運送事業(トラック事業)
トラック事業者数は長期にわたり増加していたが、平成20年度以降はほぼ横ばいで推移し ており、足下では約63,000者となっている。中小企業が99%を占めるトラック運送事業では、荷主都合の長時間の荷待ち等によるドライバーの長時間労働、荷主に対して立場が弱く適正な運賃が収受できないなどの課題があることからドライバーの健康と安全を確保するため、令和6年4月よりトラックドライバーにも時間外労働の上限規制を適用し、労働環境の改善を図ることとされている。
一方で、何も対策を講じなければ輸送力が不足し物流の停滞が懸念される「2024年問題」 に直面している。このため、令和5年6月に関係閣僚会議により抜本的・総合的な対策として 取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッ ケージ」に基づき、賃上げ原資である適正運賃の収受に向けて「標準的な運賃」の見直しを行ったほか、5年7月に創設した「トラックGメン」による、長時間の荷待ちや運賃・料金の不当な据置き等の適正取引の阻害行為の疑いがある悪質荷主に対する監視・指導強化等を図っている。 さらに、適正運賃の収受等に向けて、トラッ ク事業における多重下請構造の是正等に関する仕組みの創設等のため、令和6年の通常国会に貨物自動車運送事業法等の改正案を提出した。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
●自動車運送事業等の担い手確保・育成
ヒト・モノの輸送を担っている自動車運送事業等は、担い手不足が深刻化しています。自動車運送事業においては、職場環境改善に向けた各事業者の取組みを「見える化」するための運転者職場環境良好度認証制度の普及を推進しているほか、業種別に様々な対策に取り組 んでいます。バス・タクシーについては、運転者不足への対応が喫緊の課題であり、賃金引上げ実現に向けた運賃改定の円滑な実施や第二種運転免許取得支援の導入等により、人材確保に取り組んでいます。トラックについては、荷主や消費者等も巻き込んだ「ホワイト物流」推進運動や「標準的な運賃」の見直し・更なる普及浸透 等に取り組んでいます。このほか、2024年3月、特定技能制度の対象分野に自動車運送業分野等、4分野を新たに追加することが閣議決定されたことを受け、特定技能制度の活用により 国人材を早期に受け入れられるよう、分野別協議会における議論を開始し、制度の運用開始に向けた準備等を行っています。自動車整備については、「自動車整備の高度化に対応する人材確保に係 る検討WG」を設置し、産学官が協力して人材確保・育成に取り組んでいます。
■不動産業の動向と施策
●不動産業をめぐる動向
○不動産業の動向
不動産業は、全産業の売上高の2.9%、法人数の12.9%(令和4年度)を占める重要な産業の1つである。
○地価の動向
令和6年地価公示(令和6年1月1日時点)によると、全国の地価動向は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。 住宅地では、都市中心部や利便性・住環境に優れた地域などでは住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続しています。また、三大都市圏や地方四市の中心部における地価上昇に伴い、周辺部においても上昇の範囲が拡大しており、特に地方四市の周辺の市等では、高い上昇となった地点が見られます。 商業地では、都市部を中心に、人流回復を受けて店舗需要の回復傾向が続いたほか、オフィ ス需要も底堅く推移したことなどから、地価の回復傾向が進んでいます。再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感等から、地価上昇が継続しており、また、インバウンドを含めた観光客が回復した観光地や、人流回復が進む繁華街では、地価の大幅回復が見られます。大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅用地等の需要のほか、関連企業の事務所用地等の需要も旺盛となっており、住宅地、商業地、工業地 ともに高い上昇となっています。
○既存住宅流通の動向既存住宅の流通市場については、指定流通機構(レインズ)における令和5年度の成約件数 が18.3万件(前年度比5.1%増)となっています。
●不動産業の現状
令和4年度末において、宅地建物取引業者数は129,604業者である。 国土交通省及び都道府県は、関係機関と連携 しながら苦情・紛争の未然防止に努めるとともに、同法に違反した業者には、厳正な監督処分を行っており、4年度の監督処分件数は139件(免許取消63件、業務停止38件、指示38件)となっている。
不動産管理業については、マンション管理業・住宅宿泊管理業・賃貸住宅管理業それぞれ 法律に基づき管理業を営む者に係る登録制度を設け、適正な業務運営を確保するための措置を実施している。マンション管理業については、立入検査や指導監督を行い管理の適正化を図るとともに、令和5年度には標準管理委託契約書の改訂を行った。また、住宅宿泊管理業については、地方部における担い手確保を目的とした講習制度を創設するとともに、関係法令等の遵守徹底等を図っている。さらに、賃貸住宅管理業については、登録の義務化(令和3年6月施 行)により、法施行前の任意登録制度での登録数5,104件を上回る9,482件の登録(令和6年 3月末日時点)を行うとともに、法律の解釈・運用の考え方の普及・啓発等により、事業の適正な運営の確保に努めている。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
(つづく)Y.H