活躍している「キャリア・カウンセラー」からの近況や情報などを発信いたします。今回の便りはキャリア・カウンセラー”鈴木秀一さん”です。
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身を滅ぼす罠としての「プライド」
今回は「プライド」について考えてみたい。(※:あくまで個人や団体に向けた非難では無いことを予め断わっておく。)
先日、自動車メーカーである日産とホンダの経営統合に向けた協議が決裂し、破談になったというニュースが流れた。ホンダが日産に対して提案した「日産が子会社として統合を受け入れるのなら・・云々」との文言について日産の経営陣らが大いに不快感を示したことに起因しているらしい。
このニュースは私を大いに落胆させたと同時に、なぜか世間を騒がせている例のフジテレビの件と重なって平家物語の冒頭にある「驕れる者は久しからず ただ春の夜の夢の如し」の一節が思い起こされた。日産側としては協議にあたって、話し合いの当初から「互いが対等な立場であること」に執拗な拘りを見せてはいたものの、実質的に両社の時価総額を観れば、日産を1とすればホンダは5倍もの規模であり、とても対等な立場などとは言い難い状況にあった。
ホンダに対して国土交通省から何らかの働き掛け(依頼)があったという情報もあるにせよ、構図的には「経営危機に瀕している日産に対してホンダが救いの手を差し伸べた」という流れがある以上、助けてもらう立場に在る日産はホンダに頭が上がらないはずである。しかし日産は、ホンダから要望されていた再建計画にも取り組まぬまま一ヶ月以上も放置していたとのこと。
さすがにホンダも痺れを切らしていたと思われる。過去のテレビCMで盛んに繰り返された「技術の日産」や矢沢永吉を使ったCM「やっちゃえ日産」というお決まりのフレーズも今となっては虚しく響く・・
現時点における日産は、ホンダ以外の他社メーカーとの比較においても技術的な後れは否めないだろう。巷では「やっちゃったな日産」などと冷笑する声もあるようだ・・
(-_-;) 悲しくなってしまう。日産は過去の栄光を握りしめたまま手放すことができなかったようだ。半世紀前までは日本屈指の自動車メーカーとしてトヨタと肩を並べる大企業であったことが忘れられないのか、それとも自分たちより歴史の浅い企業に対する『上から目線』の態度が漏れてしまうのか、いずれにしても起死回生に向けた千載一遇ともいえるチャンスを棒に振ってしまったわけである。
私事だが、少年時代に憧れたフェアレディZやブルーバード、青年期にも欲しくて堪らなかったスカイラインのGT-Rやシルビアなど、日産は数々の名車を世に送り出した大好きなメーカーだったことを付け加えておく。
それ故、きっといつか復活を果たし、ライバルとしてトヨタの前に立ち現れてくれるに違いない!と密かに期待していた。このまま朽ちて行く姿など見たくない想いもある。この記事を書きながらも、若かった私に夢を与えてくれた名車群が思い出されて涙が溢れてくる。そんな私なればこそ、ここまで日産を衰退させてしまった経営陣に対して赦せない気持ちが湧き起こるのを抑えられないのだ。
さて「プライド」を辞書で調べてみると以下のような2種類の解釈があるようだ。
〇 そもそもプライドとは「誇り」「自尊心」の意味で使われる英単語である。
〇 その他にも「うぬぼれ」や「傲慢」または「虚栄心」など、あまり宜しくない意味でも用いられることもある。
今回の場合、誇りに思う気持ちというより「長い歴史と伝統に裏打ちされた技術や能力が認められるべきであり、格下だったはずのホンダなどよりも依然として自分たちの方が優れているはずだ。」といった慢心を脇に置けなかったというべきだろう。
プライドを持つことはけっして悪いことではないのだろうが、現状を認めようとせず一時の感情に任せて反応的に破談にしてしまった結果、大勢の従業員や下請け関連会社の社員、その家族たちの営みを危険に晒したことは否定できない。
このままでは数万人に及ぶ関係者が路頭に迷うことにもなりかねない。経営の神様と称された故・松下幸之助氏は「企業は人なり」という言葉を残している。これは、企業にとって人材こそが最大の財産だという意味なのだが、大企業の経営者なればこそ意地やプライドなどを捨てても従事する人たちの生活を守ろうとする姿勢を見せてほしかった。
だが、彼らとしては兎にも角にも腹が立って仕方がなかったようだ・・この際、プライドを守ることなどよりも優先しなくてはならないことが幾つもあるだろうに、役員たち個々人の感情の揺れが決定に影響してしまったことが残念でならない。
余談だが、役員数についてもホンダの26名に対し、日産の63名という多さも他では見られない異様な常態だと言わざるを得ない。(天下のトヨタでさえ29名だという。)おそらくホンダが提案した「子会社化」とは、このような役員人事にまで手を入れようという意図があってのことだったのだろう。
一般的に「あの人ってプライドが高いよね・・」といった具合に、プライドは「自我の肥大」を示す意味で遣われることが多いようだが、過去に私の付近にも「いったい俺を誰だと思ってるんだ!」などと言い出す残念なカウンセラーがいたのが思い出される。
仮にも『心』について学んだ者ならば、せめて少しは「自己観察」ができていてほしいものだが、膨れ上がった自我の肥大にも気づけないようでは到底まともな仕事(カウンセリング)ができるとは思えない。謙虚さを失い、周囲に対してマウントを取るように堕ちてしまった方と一緒に居ても不快に
なるだけなので距離を置くようにしているが、おそらく徐々に孤立し、周囲から呆れられながらも自身の有り様に気づくこともなく「裸の王様」になってしまうことだろう。
このような展開は本人にとって明らかに大きな損失であるはずなのだが、自分を俯瞰することができず、心の内部で起こっていることを自覚できなければ、せっかく社会的に地位が高い位置に居ても、名誉な職に就けたとしても、周囲から尊敬されることもなく、むしろ敬遠されてしまうだろう。
以前、ある方が笑いながら「先生などと呼ばれて喜ぶほど私は愚かではないよ」と大勢の前で呟いたのを聞いて不思議に思ったことがあったが、これはつまり「先生などと呼ばれて有頂天になっているようでは、もはや成長の可能性が断たれたも同然。私はそうならないように注意しているよ。」といった自戒の念である。
たしかに偉そうにふんぞり返っている者には誰も敢えて指摘などしてくれないだろうし、叱ってくれる人もいなくなる。・・ということを表している。
「自我の肥大」が、そのままイコール「プライドの高さ」というわけではないだろうが、自分は何か特別な存在でもあるかのような錯覚に陥ってしまうのは人生において大きな損失であり、仏教で云うところの「魔境」のようなものかもしれない。
常に謙虚な姿勢を持ち続けるのは容易なことではないようだ。その意味において、もし他者から何らかの指摘を受けた場合には、感謝の気持ちを以て素直に受け取れる人間になりたいものである。(参照:「ジョハリの窓」)
今回の破談劇やフジテレビの問題もまた「ところで自分はどうなのだろう?」と、いまの自身を振り返る機会にしてみてはいかがだろうか?
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現在、多くの企業では社員のキャリア自律が求められています。
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今回紹介する「開発的キャリアカウンセリング」は、企業内でキヤリア発達した姿を「個と組織の適合状態」と設定して、そこに向けて段階的に支援するプロセスを定義しました。このプロセスにそって、クライエントをアセスメントし、必要な支援を行っていくフレームワークを紹介します。
また、その中で求められる支援方法のうち特に重要な技術についてワークを交えて学んでいきます。
日時3月16日(日)
場所 オンライン(Zoom利用)
講師 高橋浩先生
定員20名(先着順)
参加費 一般13,000円(税込)、JCC会員 11,000円(税込)
Peatixサイト(https:// jcc24nk4.peatix.com)
または、JCCのホームページ(https://npo-jcc.org/)からお申込みください。
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▼編集後記▼
本日はとても天気に恵まれて、温かい一日でした。
来週はまた、ひどく冷え込むようです。この気温の乱高下、体調を整えるだけで、精一杯になってしまいます。知らないうちに、体は調整してくれているのだけど、それはそれなりに、エネルギーを使っているわけで、思いのほか消耗していたりします。
私たちの体に体力のメモリが目に見えればいいですが、そうなってはいないので、自分の体調の目安をわかっているといいですね。木の芽時という言い方もします。ご自愛ください。
(い)