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実践編・応用編

今後の日本の経済社会の構築 2

投稿日:2025年3月5日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。
前回に続き、経済の社会の構築について、お話しします。今後の日本経済は、より高い製品開発能力を獲得し、製品の付加価値を高めながらアジアを中心とする諸外国との経済分業の下で、互恵的な経済社会の発展を追及していくことが基本的な方向です。

○航空自由化戦略的推進による我が国の国際航空網の拡充
国際航空網の拡充を図るため、我が国では航空自由化(オープンスカイ)を推進しています。 首都圏空港の厳しい容量制約を背景に、羽田空港を自由化の対象外とするなど一部制約が残るが、我が国を発着する国際旅客便数は、成田空港における二国間輸送を自由化の対象に追加した平成22年時点(2,649便/週)と比べて、令和元年時点(5,516便/週)で2倍強に増加しました。
その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国際旅客便数は一時激減したが、水際措置が大幅に見直された令和4年10月以降、回復の傾向にあります(5年10月末時点:4,311.5 便/週)。

○航空機操縦士等の養成・確保
我が国の航空業界においては、操縦士・整備士共に50代あたりを中心とした年齢構成 ピークがあり、将来の大量退職が見込まれている。操縦士等が航空会社において第一線で活躍するまでには長い時間を要することから、今後の航空需要の回復・増加に対応するためには、中長期的な視点で計画的に操縦士等の養成を継続する必要がある。

これらを踏まえ、先進的な訓練手法の更なる効果向上に資する訓練データ分析手法の確立に 向けた検討、国家資格についてのより合理的で 利便性の高い試験方式の着実な運用及び航空大学校における操縦士の着実な養成、航空会社等と連携した指定航空従事者養成施設等における航空整備士養成課程の学生に対する無利子貸与型奨学金の創設・開始、航空業界を志望する若年者の裾野拡大に向けたイベントの開催等に取り組む。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●空港運営の充実・効率化
○空港経営改革の推進
国管理空港等において、「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律」(民 活空港運営法)を活用し、地域の実情を踏まえつつ民間の能力の活用や航空系事業と非航空系事業の一体的経営等を通じた空港経営改革を推進し、空港を活用した内外の交流人口拡大等による地域活性化を図っていくこととしています。具体的には、国管理空港について、平成28年7月に仙台空港、30年4月に高松空港、3年 4月に福岡空港、令和2年4月に熊本空港、2年6月より順次北海道内7空港(うち3空港は地方管理空港)、3年7月に広島空港の運営委託が開始さました。

○LCCの持続的な成長に向けた取組み
平成24年3月に本邦初となるLCCが就航した。それ以降、令和5年冬ダイヤ当初計画時 点で、ピーチ・アビエーションは国内25路線 及び国際12路線、ジェットスター・ジャパン は国内17路線及び国際3路線、スプリング・ ジャパンは国内2路線及び国際3路線、ジップ エア トーキョーは国際8路線へネットワーク を展開している。
政府は、国内各地域における、LCCを含む国際線就航を通じた訪日外国人旅行客の増大や国内観光の拡大等、新たな需要を創出するため 「令和7年の地方空港における国際線就航都市 数130都市」を目標とした施策を行っている。また、様々な空港においても、政府の方針に沿った取組みが行われている。具体的には、主に①着陸料軽減措置、②空港経営改革、③受入環境整備の3つの観点から実施している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

○ビジネスジェットの受入推進
ビジネスジェットとは、数人から十数人程度を定員とする小型の航空機であり、利用者のス ケジュールに応じた時間設定や、プライバシーが確保されるため搭乗中に商談等が可能となるなど、時間価値の高いビジネスマン等が利用の対象となっています。 欧米では既にビジネスジェットがグローバルな企業活動の手段となっている中、我が国においても経済のグローバル化に伴い、従来より、東京国際空港・成田国際空港を中心に、アジア地域における経済成長の取り込みの観点から、ビジネスジェットの振興は重要な課題でありましたが、近年は高付加価値旅行者の取込み等インバ ウンド拡大の観点からも重要性が増しています。 そこで、我が国ではビジネスや高付加価値旅行者の観光需要等に応えるべく、ビジネスジェッ トの利用環境の改善を図っています。例えば、令和5年度においては、観光目的の外国籍ビジネ スジェットに係る運航許可に関する航空局への申請期限を緩和し、また、新千歳空港及び下地空港において、ビジネスジェット専用動線を整備し、一般旅客と動線を分離して利便性の向ます上を図るなど、ビジネスジェットの利用環境改善を着実に進めています。

○地方空港における国際線の就航促進
平成28年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」において掲げられている、令和12年に訪日外国人旅行者数6,000万人という目標の実現に向けては、国際線就航による地方イン・地方アウトの誘客促進が重要である。各地域における国際線就航を通じた訪日 客誘致の促進のため、東京国際空港以外の国管理空港(コンセッション空港を除く)・共用空港について、国際線の着陸料の軽減措置を講じている。また、航空機の運航に不可欠なグラン ドハンドリングや保安検査をはじめとする空港業務は、コロナ禍の影響等により、人手不足に直面している。このため、令和5年2月に有識者会議を設置し、同年6月には「空港業務の持続的発展に向けたビジョン」の中間とりまとめを公表したところであり、空港業務が持続可能な形で発展するよう、地方公共団体等の地域の関係者が一丸となって、人材確保・育成、職場環境改善等を推進する。加えて、ボーディング ブリッジやCIQ施設の整備等の旅客の受入環境高度化への支援等を実施し、各地における国 際線就航に向けた取組みを促進している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

●航空交通システムの整備
長期的な航空交通需要の増加やニーズの多様化に対応するとともに、国際民間航空機関 (ICAO)や欧米等の動向も踏まえた世界的に相互運用性のある航空交通システムの実現のため、平成22年に「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」を産学官の 航空関係者により策定し、ICAOの「世界航空交通計画(GANP)」と協調しつつ、その実現 に向けた検討を進めています。今後、準天頂衛星システム7機体制が確立されることを踏まえ、静止衛星3機を用いた衛星航法補強システム (SBAS)の測位精度の向上により、高度化したサービスの提供を開始し、視界不良時における航空機の着陸機会の増加等を図ることで、長期ビジョンを実現していきます。

●航空インフラの海外展開の戦略的推進
アジア・太平洋地域における航空市場は今後も成長が見込まれます。このため、同地域の航空ネットワークの強化に貢献するとともに、各国 の成長を我が国に積極的に取り込むべく、我が国企業による海外空港整備・運営への参画及び我が国企業が強みを有する個別技術の海外空港への展開を推進しています。 令和5年度は、パプアニューギニアにおいて、円借款で整備したナザブ空港ターミナルの供用式典が行われました。また、タイにおいて、スワンナプーム国際空港の地上直接送信型衛星航法補強システム(GBAS)の導入を推進しました。加えて、タイ・フィリピン・ベトナムにおいて、我が国企業が有する技術を紹介する航空技術セミナーを開催しました。

■空港への交通アクセス強化
空港への鉄道アクセスの更なる改善のため、国際拠点空港等へのアクセス線の整備等に向けた取組みを推進しています。
東京圏では、平成28年4月に取りまとめら れた交通政策審議会答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」を踏まえ、羽田 空港と多方面とを結ぶJR東日本の羽田空港ア クセス線については令和5年3月に工事の施行 の認可を行い、JR東日本が同年6月に工事に着手しました。羽田空港発着列車の増発のための京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅引上 線(京急空港線引上線)については4年3月に 鉄道施設の変更を認可しました。加えて、羽田空港内においては、空港整備事業として、京急空港線引上線の鉄道基盤施設整備に必要な歩行者通路の切回し工事を引き続き実施したほか、JR東日本の羽田空港アクセス線についても本格着工しました。そして、京浜急行電鉄品川駅において、線路の増設やホームドア設置、昇降施設の増設工事を進める等、空港アクセス乗換駅等の利便性向上やバリアフリー化の推進を図りました。
大阪圏では、令和13年春の新線「なにわ筋 線」開業に向けて、関西国際空港と新大阪駅・ 大阪都心部とのアクセス改善に資する整備を引 き続き推進していきます。
(つづく)Y.H

-実践編・応用編

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