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生活空間の創生の最終回です。生活空間の創生とは、多様なライフスタイルとライフステージの対応として、生活と自然が調和するゆとりある住まいづくり・まちづくりの推進、また地域コミュニティの形成や景観に配慮した豊かな住環境を整備すことにより、快適な暮らし空間の実現を目指すことです。
○施策の総合的かつ計画的な推進
a住宅金融
消費者が、市場を通じて適切に住宅を選択・確保するためには、金利や家賃等に関する理解を深め、変動型や固定型といった多様な住宅 ローンが安定的に供給されることが重要です。民間金融機関による相対的に低利な全期間固定金利型住宅ローンの供給を支援するため、独立行政法人住宅金融支援機構では証券化支援業務(【フラット35】)を行っています。証券化支援業務の対象となる住宅については、耐久性等の技術基準を定め、物件検査を行うことで住宅の質の確保を図るとともに、耐震性、省エネルギー性、バリアフリー性及び耐久性・可変性の4つの性能のうち、いずれかの基準を満たした住宅の取得に係る融資金利引き下げる【フラット35】Sや、子どもの人数等に応じて融資金利を引き下げる【フラット35】子育てプラスを実施しています。 また、同機構は、高齢者が安心して暮らすことができる住まいを確保するため、住宅融資保 険を活用したリバースモーゲージ型住宅ロ ンの供給の支援(【リ・バース60】)を行っています。
b 住宅税制
令和6年度税制改正において、住宅ローン控除については、住宅価格の高騰等の現下の住宅取得環境や、子育て世帯への支援強化の必要性を踏まえ、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることとした。その結果令和4・5年入居の場合の借入限度額の水準が維持されることとなった。既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置については、現行の措置(耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化)の適用期限を2年間(令和7年12月31日 まで)延長した上で、住宅ローン控除と同様に、子育て世帯への支援強化の必要性を踏まえ、子育て世帯・若者夫婦世帯の行う子育てに 対応した住宅へのリフォームを本特例措置の適用対象に追加した(適用期限:令和6年12月31日)。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
■良好な宅地の供給及び活用
●宅地造成の現状
良好な居住環境を備えた宅地の供給を促進するため、宅地開発に関連して必要となる公共施設の整備に対する支援等を実施しています。
●ニュータウンの再生
高度成長期等において大都市圏の郊外部を中心に計画的に開発された大規模な住宅市街 地(ニュータウン)は、急速な高齢化及び人口 減少の進展を背景に地域の活力の低下等の課題を抱えており、老朽化した住宅・公共施設の更新や生活を支える機能の充実等を通じて、誰もが暮らしやすい街へと再生を進めていく必要があります。また、ニュータウンの再生に資するための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組みを推進するため、地方公共団体、民間事業者等からなる「住宅団地再生」連絡会議を開催し、推進の手法や取組事例に関する情報提供及び意見交換等を行っています。
◆快適な生活環境の実現
■緑豊かな都市環境の形成
令和4年度末現在の都市公園等整備状況は、114,707か所、約130,531haとなっており、 一人当たり都市公園等面積は約10.8m2となっています。
■歩行者・自転車優先の道づくりの推進
●人優先の安全・安心な歩行空間の形成
安全・安心な社会の実現を図るためには、歩行者の安全を確保し、人優先の安全・安心な歩 行空間を形成することが重要です。幹線道路等において安全性を一層高めつつ自動車交通を生活道路から転換するとともに、生活道路に いて速度抑制や通過交通の進入抑制を図る面的対策等を実施することにより、人優先の安全・ 安心な歩行空間の形成を推進しています。
●安全で快適な自転車利用環境の創出
過去10年間で自転車が関係する事故件数は、減少傾向ですが、対歩行者の事故件数は近年増加傾向にあり、また、「道路交通法」 の改正等(令和4年4月27日公布。令和5年4月1日等施行。)により新たなモビリティも 自転車通行空間を走行することなどを踏まえ、より一層安全で快適な自転車の利用環境整備が求められています。このため、自転車の交通ルー ルの効果的な啓発や、警察庁と共同で「安全で 快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の見直し・周知を図っています。
●多様なニーズに応える道路空間の実現
賑わいのある道路を構築するため、令和2年度に歩行者利便増進道路(ほこみち)制度を創設しました。また、社会情勢の変化に伴い多様化する道路へのニーズに対応するため、道路空間の柔軟な利活用等による「人中心の道路空間」の実現に取り組んでいます。
◆自動車活用政策の推進
■自転車活用推進法に基づく自転車活用推進計画の推進
自転車は、環境にやさしい交通手段であり、災害時の移動・輸送や国民の健康の増進、交通 の混雑の緩和等に資するものであることから、 環境、交通、健康増進等が重要な課題となって いる我が国においては、自転車の活用の推進に関する施策の充実が一層重要となっている。 このため、平成29年5月1日に施行された 「自転車活用推進法」(平成28年法律第113号) に基づいて定められた「自転車活用推進計画」 (令和3年5月28日閣議決定)に基づき、自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成 のため、地方公共団体における自転車活用推進 計画の策定を促進するとともに、歩行者、自転 車及び自動車が適切に分離された自転車通行空 間の計画的な整備の推進に取り組んでいるほか、令和5年度に公表した「サイクルトレイ ン・サイクルバス導入の手引き」や「シェアサイクル事業の導入・運営のためのガイドライ ン」を活用するなど、サイクルトレイン・サイ クルバスやシェアサイクルをはじめとする公共交通と連携した自転車の活用を推進している。 また、「自転車通勤導入に関する手引き」の 周知や「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェ クト」等の展開により自転車通勤の拡大を図るとともに、都道府県等による自転車損害賠償責任保険等への加入を義務付ける条例の制定を促進するほか、利用者等に対する情報提供の強化等により、自転車損害賠償責任保険等への加入を促進している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
◆利便性の高い交通の実現
●都市鉄道ネットワークの充実
既存の都市鉄道ネットワークを有効活用しつつ速達性の向上を図ること等を目的とする「都 市鉄道等利便増進法」を活用し、神奈川東部方面線(相鉄~JR・東急直通線)の整備を進 めてきた結果、相鉄・JR直通線先行開業に続き、令和5年3月には相鉄・東急直通線が開業 した。このほか、3年7月に取りまとめられた 交通政策審議会答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」を踏まえ、東京メトロ有楽町線(豊洲~住吉)及び南 北線(品川~白金高輪)の延伸について、4年 3月に鉄道事業許可を行った。また、利用者 サービスの向上等を図るための東京メトロの完全民営化の促進等に向け、関係者とも連携して必要な取組みを推進する。
また、これまで大都市圏の鉄道において慢性的に続いていた通勤混雑は、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化等によって緩和された状態が続いている。今後は、鉄道の利用状況を継続的に把握するとともに、ポストコロナの利用状況を十分に検証の上、必要な施策を検討する。これらの取組みの推進によ り、国際競争力の強化に資する都市鉄道や豊かな国民生活に資する都市鉄道等、我が国の都市 鉄道が目指すべき姿の実現に向けた取組みを推進していく。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
●都市モノレール・新交通システム・LRT の整備
少子高齢化に対応した交通弱者のモビリティの確保を図るとともに、都市内交通の円滑化、 環境負荷の軽減、中心市街地の活性化の観点から公共交通機関への利用転換を促進するため、LRT等の整備を推進しています。令和5年度は、各都市において都市モノレール・新交通システ ムの延伸事業や路面電車のバリアフリー化が進められるなど、公共交通ネットワークの再構築等が進められており、8月には新規路線として、芳賀・宇都宮LRTが開業しました。
●バスの利便性の向上
人口減少により利用者も減少する中、バス・ タクシーを積極的に利用してもらうためには、 利便性の向上が重要であり、バスの位置情報を提供するバスロケーションシステム、円滑な乗降を可能とするキャッシュレス決済等のシステム導入や、電気自動車の導入等によるクリーンかつ快適な利用環境の提供を促進しています。 また、高齢者や障害者、大きな荷物を持った外国人旅行者等も含め、誰もが利用しやすいバス・タクシーの利用環境を整備するため、地域公共交通確保維持改善事業補助金や税制特例等を活用し、ノンステップバス・ユニバーサルデザインタクシー・福祉タクシー等の導入を促進 しています。 さらに、令和5年10月に取りまとめられた 「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向け た対策パッケージ」に基づいて、タクシーへの複数アプリの導入の促進による実車率の向上、連節バスやジャンボタクシー等、輸送力の大きな車両導入の支援や観光スポットへの急行バスの導入による混雑緩和等に取り組んでいます。
(つづく)Y.H