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実践編・応用編

地方創成_地域活性化の取組み2

投稿日:2025年2月14日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、地域活性化の取組みついてお話しします。地域活性化とは、各地域の経済・社会・文化などを活性化させ、その地に暮らす人々の意欲向上も後押しし、地域を持続的に発展させる取組みのことです。県や市区町村などの自治体や観光協会、地元企業、地元住民で組織された地域づくり団体などが、地域活性化の主要な役割を担っています。

◆地域特性を活かしたまちづくり・基盤整備
■民間投資誘発効果の高い都市計画道路の緊急整備
市街地における都市計画道路の整備は、沿道の建替え等を誘発することで、都市再生に大きな役割を果たしています。このため、残りわずかな用地買収が事業進捗の隘路となっている路線について、地方公共団体(事業主体)が一定期間内の完了を公表する取組み(完了期間宣言路線(令和5年4月現在49事業主体136路線))を通じ、事業効果の早期発現に努めています。

■交通結節点の整備
鉄道駅やバスターミナル等の交通結節点には、様々な交通施設が集中し、大勢の人が集ま るため、都市再生の核として高い利便性と可能性を有しています。
このため、品川駅や神戸三宮駅、虎ノ門ヒル ズ駅等の交通結節点及びその周辺において、直轄道路事業、又は社会資本整備総合交付金や国際競争拠点都市整備事業、都市・地域交通戦略推進事業、鉄道駅総合改善事業等の活用により、交通機関相互の乗換え利便性の向上や鉄道等により分断された市街地の一体化、駅機能改善等を実施し、都市交通の円滑化や交通拠点としての機能強化等を推進しています。

■交通モード間の接続(モーダルコネクト) の強化
バスタ新宿をはじめとする集約型公共交通ターミナル『バスタプロジェクト』について、官民連携を強化しながら戦略的に展開して、多様な交通モードが選択可能で利用しやすい環境を創出し、人とモノの流れの促進や生産性の向上、地域の活性化や災害対応の強化等のため、 バスを中心とした交通モード間の接続(モーダルコネクト)の強化を推進している。
また、民間と連携した新たな交通結節点づく りの推進に向けて、交通混雑の緩和や物流の円滑化のため、バス・タクシー・トラック等の事 業者専用の停留施設(特定車両停留施設)を道路附属物として位置付けるとともに、施設運営については、民間の技術やノウハウを最大限に活用するため、コンセッション制度の活用を可能とする事業スキームの構築等を内容とする 「道路法」 等の改正法が、令和2年5月に成立 し、11月に施行された。
このほか、カーシェアリングやシェアサイクルといった新たな交通モードについて、道路空間を有効活用しながら、公共交通との連携を強化させる取組みを推進している。東京都においては、地下鉄大手町駅及び新橋駅付近に、カー シェアリングステーションを設置し、公共交通の利用促進の可能性を検証する社会実験を実施している。今後は、この社会実験の結果を踏ま えながら、道路空間の有効活用による道路利用 者の利便性向上に向けた検討を進めていく。

(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

■企業立地を呼び込む広域的な基盤整備等
各地域が国際競争力の高い成長型産業を呼び込み集積させることは、東アジアにおける競 争・連携及び地域活性化の観点から大きな効果があります。このため、空港、港湾、鉄道や高規格道路ネットワーク等、地域の特色ある取組みのために真に必要なインフラへ集中投資を行い、地域の雇用拡大・経済の活性化を支える施策を推進しています。

●空港整備
国内外の各地を結ぶ航空ネットワークは、地域における観光振興や企業の経済活動を支え、地域活性化に大きな効果があります。アジア等の世界経済の成長を我が国に取り込み、経済成長の呼び水となる役割が航空に期待される中、我が国全体の国際競争力や空港後背地域の地域競争力強化のため、空港の処理能力向上や空港ターミ ナル地域再編による利便性向上等を図っています。

●港湾整備
四方を海に囲まれている我が国においては、海外との貿易の大部分を海上輸送が担ってお り、国内においても、地域間の物流・交流等に海上輸送が重要な役割を担っています。こうした 中で、港湾インフラは海外との貿易の玄関口であるとともに、企業活動の場として日本の産業を支えています。物流効率化等による我が国の産業の国際競争力の強化、雇用と所得の維持・創出を図るため、地域の基幹産業を支える港湾において、国際物流ターミナルの整備等を行っ います。

●鉄道整備
全国に張り巡らされた幹線鉄道網は、旅客・ 貨物輸送の大動脈としてブロック間・地域間の 交流を促進するとともに、産業立地を促し、地域経済を活性化させることで、地域の暮らしに 活力を与えています。特に全国一元的なサービスを提供する貨物鉄道輸送は、カーボンニュートラルの達成やトラックドライバー不足の中で、環境に優しく効率の高い大量輸送手段として大きな役割が期待されています。

●道路整
迅速かつ円滑な物流の実現等により国際競争力を強化するとともに、地域活性化の観点から高規格道路等の幹線道路ネットワークの形成を進めています。

■地域に密着した各種事業・制度の推進
●道の駅
「道の駅」は道路の沿線にあり、駐車場、トイレ等の「休憩機能」、道路情報や地域情報の 「情報発信機能」、地域と道路利用者や地域間の交流を促進する「地域の連携機能」の3つを併せ持つ施設で、令和6年3月末時点1,213駅が登録されています。 近年、地元の名物や観光資源を活かして、多く人々を迎え、地域の雇用創出や経済の活性化、住民サービスの向上にも貢献するなど、全国各地で「道の駅」を地域活性化の拠点とするだけではなく、災害時の防災拠点としての活用や子育て応援施設の整備等の取組みも進展しています。「地方創生・観光を加速する拠点」及び「ネットワーク化で活力ある地域デザインにも貢献」というコンセプトを実現するための取組みをも推進していきます。

●高速道路路休憩施設の活用による拠点の作成
高速道路利用者だけの使用を前提とした「高速道路の休憩施設」は、近年、ウェルカムゲー トやハイウェイオアシス等により、沿道地域への開放による地域活性化が図られており、その 促進のため、関係機関が連携の上、進捗状況に応じた支援を実施しています。

●官民連携による道路管理の充実
道路の管理は、これまでも地域の方々と協働しながらボランティア・サポート・プログラム (VSP)等により民間団体等の協力を得て進めている。さらに「道路法」により指定された道 路協力団体は、道路の美化清掃やイベント等の 実施により地域の魅力向上のための活動を実施し、活動で得られた収益により、道路管理の 実を図っている。なお、道路協力団体が行う道路に関する工事や道路占用の手続について、 務内容の範囲において柔軟化しており、令和6年3月末までに直轄国道において44団体を指定している。

●「かわまちづくり」支援制度
河口から水源地まで様々な姿を見せる河川と それにつながるまちを活性化するため、地域の景観、歴史、文化、観光基盤等の「資源」や地 域の創意に富んだ「知恵」を活かし、市町村、 民間事業者及び地元住民と河川管理者の連携の下、「かわまちづくり」計画を作成し、河川空 間とまち空間が融合した良好な空間形成を推進 している。令和5年8月末までに264か所が 「かわまちづくり」支援制度に登録している。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書

◆広域圏の自立・活性化と地域・国土づくり
■新時代に地域力をつなぐ国土・地域づくり
●広域的地域活性化のための基盤整備の推進
自立的な広域圏の形成に向け、広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域 の活性化を図るため、令和5年度においては、36府県が、2~4府県ごとに協働して34の共 通目標を掲げ、延べ82の府県別の広域的地域活性化基盤整備計画を作成しており、同計画に基づくハード・ソフト事業に対して、交付金を交付しました。

●官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業
官民が連携して策定した広域的な地域戦略に資する事業について、民間の意思決定のタイミ ングに合わせ、機を逸することなく基盤整備の構想段階から事業実施段階への円滑かつ速やな移行を図るため、令和5年度においては、地方公共団体が行う概略設計やPPP/PFI導入可能性検討といった事業化に向けた検討に対し21件の支援を行いました。

●連携中枢都市圏等による経済・生活圏の形成
地方圏の政令指定都市・中核市等を中心とす る一定規模以上の人口・経済を擁する都市圏においては、経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上の 実現を目指す「連携中枢都市圏」の形成を促進しており、令和5年4月1日時点で合わせて38圏域が形成されている。国土交通省では、地域公共交通確保維持改善事業等について、連携中枢都市圏で策定された都市圏ビジョンに基づき実施される事業に対して一定程度配慮するなどの支援を行っています。
(つづく)Y.H

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