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地域活性化とは、各地域の経済・社会・文化などを活性化させ、その地に暮らす人々の意欲向上も後押しし、地域を持続的に発展させる取組みのことです。県や市区町村などの自治体や観光協会、地元企業、地元住民で組織された地域づくり団体などが、地域活性化の主要な役割を担っています。今回は、地域活性化の取組みについてお話しします。
◆地方創生・地域活性化に向けた取組み
少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住よい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、政府は、平成26 年11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、地方創生の取組みを推進してきた
令和5年においては、仕事・交通・教育・医療をはじめとする地方が抱える課題をデジタル 実装を通じて解決し、地域の個性を生かした地方活性化を図る、「デジタル田園都市国家構想」の具体化を進めるため、4年に策定した「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の改訂を行った。同構想を通じて、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、施策を展開していくこととし、国土交通省においては、主に以下の取組みを行う。a地域公共交通について、法制度や予算等、あらゆる政策ツールを総動員し、交通DX・ GXの活用や、地域の関係者の連携・協働(共創)を通じ、「地域の公共交通リ・デザイン 実現会議」における議論も踏まえ、利便性・生産性・持続可能性の高い地域公共交通への「リ・デザイン」を加速化させる。
b 多様な暮ら方を支える人間中心のまちづく りを実現し、持続可能な都市を形成するため、 コンパクトでゆとりと賑わいのあるまちづく りを進めるとともに、地方都市と大都市の交流・連携や、不動産IDを含む不動産関係ベースレジストリ、建築BIM(個々の建築物情報 の3次元データ)、PLATEAU(3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進るプロジェクト)等の「建築・都市のDX」を進め、まちづくりの高度化や官民データ連携による新サービスの創出を促進する。
c観光分野のDXを推進し、観光消費の拡大、 観光産業の生産性向上等に一体的に取り組む 観光DXのモデルとなる地域の創出に向け て重点的な支援を実施し、稼ぐ地域を創出するとともに、事業者間・地域間のデータ連携 の強化により、広域で収益の最大化を図る。
d自動運転、ドローン物流、バース予約システ ム、求貨求車マッチングや自動倉庫、AIター ミナル、サイバーポートといった物流DX、生産性向上に資する道路ネットワークの整備等を推進する。
e基盤的な地理空間情報である電子国土基本図 の活用をはじめとする国土の状況把握・見える化等の国土利用・管理DXを推進する。
f 「流域治水」の取組みをソフト面から推進するため、例えば、一級水系において、本川・支川が一体となった洪水予測の高度化を図り、早期の災害対応や避難を支援しつつ、浸水範囲と浸水頻度の関係を示した水害リスク マップを新たに整備して、防災まちづくり等での活用を促進する。
g国土形成計画を踏まえ、「共」の視点からの地域経営を実現する観点から、デジタルを徹 底活用しながら、暮らしに必要な日常の生活サービスが持続的に提供される「地域生活圏」 の形成を推進する。 都市再生については、民間活力を中心とした 都市の国際競争力の強化や地方都市と大都市の連携促進等を図るとともに、「居心地が良く歩 きたくなる」まちなかの創出等による都市再生 の推進に取り組んでいる。(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
◆地域活性化を支える施策の推進
■地域や民間の自主性・裁量性を高めるための取組み
●地方における地方創生・地域活性化の取組み支援
地域の発展及び持続可能性の向上を図ることを目的に、創意工夫を活かした自主的な優れた地域づくり活動に対し、各団体と協働し「地域づくり表彰(国土交通大臣表彰等)」を昭和59 年度より実施しています。40回目となる令和5年度は、全国より41件の推薦があり、計8件を表彰しました。財政面の支援としては、デジタル田園都市国家構想交付金や、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)等により、地方が地方創生に中長期的見地から安定的に取り組めるよう支援を行っています。 また、全国各地の個性的で魅力ある地域づくりに向けた取組みを一層推進するため、社会インフラと関わりのある地域活性化の取組みを 「手づくり郷土賞(国土交通大臣表彰)」として 昭和61年度より表彰しています。38回目となる令和5年度は15件(一般部門13件、大賞部2件)が同賞を受賞しました。
●民間のノウハウ・資金の活用促進
地方都市の成長力・競争力の強化を図るため、立地適正化計画の区域内において行われる 都市機能の誘導に効果的である民間都市開発事業で国土交通大臣認定を受けた優良な民間都市 開発事業等に対し、一般財団法人民間都市開発推進機構による出資等の支援を行いました。あわせて、同機構が地域金融機関との間で設立する ちづくりファンドを通じて、一定のエリア内において連鎖的に行われるリノベーション事業、老朽ストックを活用したテレワーク拠点等の整備を含む事業を出資等により支援しました。
また、まちの魅力・活力の維持・向上を通じた地域参加型の持続可能なまちづくりの実現と 定着を図るため、民間まちづくり活動における先進団体が持つ、活動を行う中で一定の収益を継続的に得ることができるノウハウ等を、これから活動に取り組もうとする他団体に水平展開するための普及啓発に関する事業や、「都市再生特別措置法」の都市利便増進協定に基づく施設 整備等を含む先進的な民間まちづくり活動に関する実験的な取組み等への支援を行っています。 さらに、まちなかにおける道路、公園、広場等の官民空間の一体的な利活用等による「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出を推進する観点から、官民が連携して賑わい空間を創出する取組みを市町村のまちづくり計画に位置付けることなどの措置を講ずる「都市再生特別措置法」等に基づき、引き続き法律・予算・税 制のパッケージで支援しました。 加えて、首都高速道路日本橋地区の地下化の取組みでは、老朽化対策のみならず、その機能向上を図るとともに、日本橋川周辺の水辺空間の再生や都心のビジネス拠点の整備等の民間再開発プロジェクトと連携しています。あわせて、地域の賑わい・交流の場の創出や道路の質の維持・向上を図るため、立体道路制度等を活用した官民連携による取組みを推進しています。このほか、平成27年度に改正「構造改革特別区域法」が施行され、民間事業者による公社管理有料道路の運営が可能となりました。
●コンパクトシティの実現に向けた総合的取組み
都市のコンパクト化と公共交通網の再構築をはじめとする都市の周辺等の交通ネットワーク 形成は、居住や都市機能の集積を図ることにより、住民の生活利便性の維持・向上、サービス産業の生産性の向上等による地域経済の活性化、行政サービスの効率化等による行政コストの削減などの具体的な行政目的を実現するための有効な政策手段であり、中長期的な視野をもって継続的に取り組む必要がある。
コンパクトシティの実現に向けた市町村の取組みを促進するため、経済的インセンティブによって居住と都市機能の立地誘導を進める「立地適正化計画制度」を創設した。令和5年12 月末時点において、立地適正化計画の作成については、703市町村が具体的な取組みを行っており、そのうち、537市町村が立地適正化計画 を作成・公表済みとなった。地域公共交通計画 については、令和5年度末において、1,021件が公表済みとなった。 また、こうした市町村の取組みが、医療・福祉、住宅、公共施設再編、国公有財産の最適利用等のまちづくりに関わる様々な関係施策との連携による総合的な取組みとして推進されるよう、関係府省庁で構成する「コンパクトシティ形成支援チーム」(事務局:国土交通省)を通じ、現場ニーズに即した支援施策の充実、モデル都市の形成・横展開、取組み成果の「見える化」等に取り組んでいる。さらに、頻発・激甚化する自然災害に対応した安全なまちづくりを推進するため、災害ハザードエリアにおける開発抑制、災害ハザードエリアからの移転の促進、立地適正化計画と防災との連携強化を進めるとともに、まちづくりの将来像の実現に必要な都市の骨格となる基幹 的な公共交通軸を形成し、そのような公共交 軸で結ばれる拠点内の回遊性や滞在快適性を向上させ、持続可能な多極連携型のまちづくりの取組みを推進していく。
(出典)国土交通省 令和6年版 国土交通白書
(つづく)Y.H