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労働環境の整備について2

投稿日:2024年10月18日 更新日:

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。

前回に続き、労働環境の整備についてお話しします。労働環境とは、会社で働く従業員を取り巻く環境のことです。事業者には、従業員の健康や安全を守るため、労働環境を整える義務があります。「労働安全衛生法第3条の1」に、以下のように記されています。「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」労働環境の整備は、従業員の定着や生産性の向上など企業の利益アップにつながるため非常に重要です。
◆仕事と育児の両立支援策の推進
■現状
育児・介護期は特に仕事と家庭の両立が困難であることから、労働者の継続就業を図る ため、仕事と家庭の両立支援策を重点的に推進する必要があります。 直近の調査では、女性の育児休業取得率は80.2%(2022(令和4)年度)と、育児休業制度の着実な定着が図られています。また、2015~19年に第1子を出産した女性の出産後の継続就業割合は、69.5%(2021(令和3)年)となっており、約7割 の女性が出産後も継続就業しています。 一方で、男性労働者のうち、末子の出生の際に育児休業制度の取得率は17.13%(2022年度)にとどまっています。 こうした状況を踏まえ、男女ともに仕事と育児・介護を両立したいという希望がかない、安心して働き続けることができる環境を引き続き整備していく必要があります。

■企業における次世代育成支援の取組み
次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ育つ環境をつくるために 、「次世代育成支援 対策推進法」(平成15年法律第120号。)に基づき、国、地方 公共団体、事業主、国民がそれぞれの立場で次世代育成支援を進めています。地域や企業の子育て支援に関する取組みを促進するため、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に対し、一般事業主行動計画の策定・届出等を義務づけ、次世代育成支援対策推進センター、労使団体及び地方公共団体等と連携し、行動計画の策定・届出 等の促進を図っています。 また、適切な行動計画を策定・実施し、その目標を達成するなど一定の要件を満たした企業は「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受け、認定マーク(愛称:くるみん)を使用することができます。 あわせて、「くるみん認定」等において、不妊治療と仕事との両立に取り組む優良な企業を認定する制度(「プラス認定」)も実施しています。これらの認定制度及び認定マークの認知度を高めるため、認定企業の取組み事例や認定を受けるメリット等を積極的に紹介するとともに、認定企業に対する公共調達における加点評価について、幅広く周知し、認定の取得促進を図っています。

■仕事と家庭を両立しやすい環境整備の支援

“●仕事と育児・介護との両立
事業主が労働者の育児休業の取得及び育児休業後の円滑な職場復帰による継続就労を支 援するために策定する「育休復帰支援プラン」や介護離職を防止するために策定する「介 護支援プラン」の普及や策定支援を行っているほか、育児や介護を行う労働者が働き続け やすい雇用環境の整備を行う事業主を支援するため、両立支援等助成金を支給している。 2024(令和6)年4月時点での制度の対象となる事業主は以下のとおりである。
①出生時両立支援コース
【第1種】男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備措置を複数実施するとと もに、代替する労働者の業務見直しなどを含む業務体制整備を行い、産後8週間以内に開 始する連続5日以上の育児休業を取得させた中小企業事業主
【第2種】第1種助成金を受給し、男性労働者の育児休業取得率を3年以内に30%以上 上昇させる等した中小企業事業主

②介護離職防止支援コース
「介護支援プラン」を策定・導入し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・ 復帰に取り組んだ中小企業事業主、または介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立 支援制度)を導入し、利用者が生じた中小企業事業主

③育児休業等支援コース
「育休復帰支援プラン」を策定・導入し、プランに基づく取組みを実施し、労働者に育 児休業を取得させ、原職等に復帰させた中小企業事業主

④育休中等業務代替支援コース
育児休業や育児短時間勤務の期間中の業務体制整備のため、育児休業取得者や育児短時 間勤務を利用する労働者の業務を代替する周囲の労働者への手当支給や、育児休業取得者 の代替要員の新規雇用(派遣受入を含む)を実施した中小企業事業主

⑤柔軟な働き方選択制度等支援コース
育児期の柔軟な働き方に関する制度(柔軟な働き方選択制度等)を複数導入した上で、 「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」に基づき、制度利用者を支援した中小企業事業主

さらに、人事労務担当者向けセミナーの実施や啓発用動画の作成、企業の事例集等広報 資料の作成・配布、公式サイトの運営等により男性が育児をより積極的に楽しみ、かつ、 育児休業を取得しやすい社会の実現を目指している。
また、インターネットで設問に答えると自社の「仕事と家庭の両立のしやすさ」を点 検・評価することができる両立指標や、両立支援に積極的に取り組んでいる企業の取組み 等を掲載したサイト「両立支援のひろば」による情報提供等により、仕事と家庭の両立 に向けた企業の自主的な取組みを促進している。 加えて、介護離職防止のため、家族を介護する労働者に介護休業制度等が広く周知され るよう積極的な広報に取り組んでいる。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書”

◆人材確保対策の推進や労働生産性の向上
■人手不足に対応した労働市場改革
●労働者の賃上げ支援
厚生労働省では、最低賃金・賃金引上げに向けた生産性向上支援として、以下の支援策を講じています。
①事業場内で最も低い時間給の労働者の賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資などに要した費用の一部を「業務改善助成金」により助成
②2023(令和5)年度においては、対象となる事業場を拡大するなどの拡充を実施。また、厚生労働省と中小企業庁が連携し、中小企業・小規模事業者向けに共同でリーフ レットを作成し、「働き方改革推進支援センター」や「よろず支援拠点」等で周知・広報を実施
③「働き方改革推進支援センター」を47都道府県に設置し、労務管理の専門家による無料の個別相談支援やセミナー等を実施
④非正規雇用で働く方の処遇改善等を行った場合に助成

●人材の育成・活性化
我が国の在職者への学び直し支援策は、企業経由が中心となっています。これについて、働く個人が主体的に選択可能となるよう、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにし、在職者のリ・スキリングの受講者の割合を高めていくなど、リ・スキリングによる能力向上支援に取り組んでいます。

〇個人の主体的な能力開発に対する支援
雇用保険の被保険者等が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、修了した場合に、 その費用の一部を支給する教育訓練給付制度については、関係省庁と連携して、デジタル 分野等の成長分野の講座拡大やオンライン等で受講できる講座の充実を進めていくほか、 更なる制度の周知・広報の実施により、活用を促進していきます。また、雇用保険制度におい て、自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、教育訓練給付金の給付率の 上限の引上げや、教育訓練を受けるために休暇を取得した場合に賃金の一定割合を支給す る「教育訓練休暇給付金」の創設等を行うこととし、これらを含む「雇用保険法等の一部 を改正する法律案」を2024(令和6)年2月に第213回通常国会に提出しました。

〇企業に対する職業能力開発への支援
事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させる ための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、人材開発支援助成金により、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成しています。2022(令和4)年度には「人への投資」を強化するため、「人への投資促進コース」及び「事業展開等リスキリング支援コー ス」を創設し、2026(令和8)年度まで高率助成により支援することとしています。 また、2023(令和5)年度から事業主の利便性の向上を図るため、雇用形態により対象労働者を区分していた「特定訓練コース」、「一般訓練コース」及び「特別育成訓練コース」を「人材育成支援コース」に統合し、雇用形態に関わらず幅広い訓練の受講を可能とし、企業で働く労働者の訓練機会の拡充を図るなど、引き続き、人材育成に取り組む事業主等を支援していくこととしています。

〇成長分野等でのハロートレーニング(公的職業訓練)の推進
ハローワークの求職者のうち、就職のために職業訓練が必要な者に対して無料のハロー トレーニング(公的職業訓練)を実施し、安定した就職に向けて能力開発機会を提供して いる。具体的には、主に雇用保険受給者を対象として、おおむね3か月から2年の公共職 業訓練を実施しているほか、主に雇用保険を受給できない者を対象として2か月から6か 月の求職者支援訓練を実施している。職業訓練の実施にあたっては、専修学校、大学・大 学院、企業や特定非営利活動法人を含む民間教育訓練機関を積極的に活用し、多様な人材 ニーズに応じた訓練機会を提供することとしており、国の公共職業能力開発施設では、主 にものづくり分野における公共職業訓練を実施している。また、国の公共職業能力開発施 設において、在職中の労働者を対象に、技術革新、産業構造の変化などに対応する高度な 技能や知識を習得させるための在職者訓練を実施している。 さらに、デジタル推進人材の育成に向けて、デジタル分野の訓練コースの設定促進に取 り組んでいる。 2022年度においては、公共職業訓練で約10.2万人、求職者支援訓練で約4.0万人に対 して離職者訓練を実施した。2024年度は、公共職業訓練で約15.4万人、求職者支援訓練で約4.8万人が訓練者訓練を受講できるように措置している。(出典)厚生労働省 令和6年版 厚生労働白書

●賃金上昇を伴う労働移動の円滑化
雇用情勢や産業構造の変化を踏まえた労働移動の円滑化を図るため、転職・再就職支援 のための助成金の支給等を進めています。 転職・再就職支援のための助成金については、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等を早期に雇い入れた事業主に対して助成する「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」等において、成長企業が転職者を受け入れて行う能力開発に対するる助成を行うとともに、前職よりも賃金を5%以上上昇させた再就職に対する上乗せ助成を実施しています。また、「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」において、中途採用者の雇用管理制度を整備した上でその採用を拡大させた事業主又は45歳以上の労働者の中途採用率を上昇させる等とともに当該45歳以上の労働者の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた事業主に対する助成を行うことにより、賃金上昇に伴う労働移動の促進に取り組んでいます。
(つづく)Y.H

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