CDWは”Career Development Workshop”の略ですが、CDWそのものがカウンセリングプロセスになっており、CDWの中で自己理解を深めていくプロセスを体験していただきます。このプロセスがきちんと確立されて、初めて、他の人たちはどう考えているのだろうかを客観視することができます。多様な考え方がある中で、自分のキャリア観を自己分析し、改めて自分の人生に思いを寄せて自分の仕事人生の位置づけをはっきりさせることができて、他人への視点が出てくるものだと思っています。
自分がカウンセリングするときには、どういった傾向があるのか、どういった思考で聴く癖があるのか、また返答する癖があるのか、そういった基本的なところを最初に学んでいただくことが重要であると思っています。キャリアコンサルタント自身が自分自身を見つめ、内的キャリアを自覚できてから他者理解ができることに繋がると思っています。CDWは、カウンセリング演習の時に得たいろいろな自覚を効果的に発揮させるのに大変役に立つように思います。
次のような感想が受講者の方から寄せられています。
・コースの最初にCDWを体験することで、その後の理論や講習の内容がよく理解できるようになったかと思います。CDWを通じて、自己理解できたことが、 一番の成果ではないかと思います。
・真剣にキャリアカウンセリングを受けられたことが良かったと思います。自己分析などは自分ひとりで行ったことがありますが、カウンセリングを受けてカウンセリングの力の凄さを感じることができました。いつか自分もキャリアコンサルタント として活動したいと思います。
・自分自身についての内的な深い気づきを経験し、それを踏まえて自らの仕事人生の設計を行い、同時に自分自身がキャリアカウンセリングを体験することにより、 実際のカウンセリングの場面でクライアントの内面に何が起こっているかを体験でき、キャリアコンサルタントとして何が重要であるかを知ることができました。
このように、CDWの評価は非常に高いですし、カウンセリングを実行する上で、不可欠なワークショップであるとテクノファでは位置付けています。
自己理解を深めるためのプロセスとして、なぜCDWがプログラムの中核に位置づけられているのか、キャリアコンサルタントとして、なぜCDWが必須なのか、受講者の方からの感想でご理解いただけるとありがたく思います。
渡辺三枝子先生に担当いただく「カウンセリング理論」では、実は受講生から、「意外だ」と言う意見が多かったと思います。意外だというのは、非常に実践的であったからだろうと思います。講義では、受講生の方々に事前に本を読んで来ることをお願いしていますが。『カウンセリング心理学』と『キャリアカウンセリング入門』を読んでいることを前提に演習が始まります。
渡辺先生は、開口一番「読んできて質問はありますか?」で講義を始めます。そして、出た質問をホワイトボードに書き込んでいって、それについてグループごとに議論をはじめます。渡辺先生は、それを見ながら、カウンセラーとしての態度をちゃんと判断していらっしゃるのですが、聴き方だとか話し方だとかをちゃんとみていますので、自分の気づかなかったことをアドバイスしてもらえます。その上で基本的にカウンセリングとしての態度というのはこういうものだとか、学問的にカウンセリング心理学と職業心理学の変遷については、今こういう風になっている、などのついてのお話になります。
また、講座では、実務の話が非常に多いのが特徴です。キャリアカウンセリングの実務経験を非常に多くお持ちの先生なので、いろんな質問があったときに、自分はこういう風に判断しましたとか、自分としてはこう考えます、とかをご自分のキャリア観に基づいて単刀直入におっしゃられます。そうすると質問者は具体的にはこういう回答方法があるのか、ということを身もって理解することができます。双方向ならではの講義スタイルが他の方と異なる点だと思います。渡辺先生だからできることだと思いますが、それは、単なるカウンセリング心理学の講義だけではない、まさにカウンセリング実務をやってこられた先生だからこそだと思っています。(平林良人)
(続く)