「指導者レベルのキャリアコンサルタント」に求められる能力要件としては、厚生労働省の委託を受けた中央職業能力開発協会のキャリアコンサルティング研究会の報告にまとめられている指導ベルのキャリアコンサルタントの特長が参考になりますので、ここではその報告書で述べられている内容を記しておきます。 なお、これもキャリアコンサルティング技能検定1級試験における試験範囲になります。
基本的には次の能力が求められます。
・キャリアコンサルタントティングの普及促進に指導的な役割を果たすこと。
・労働市場インフラ(基盤)であるキャリア形成支援システムの中核を担うこと。
・他のキャリアコンサルタントの模範として、相応の社会的機能とこれを裏付ける能力があること。
このため、「指導者レベルのキャリアコンサルタント」には、一対一の支援を中心とした「キャリアコンサルティング機能」に加え、他のキャリアコンサルタントを「指導する機能」、組織への働きかけや関係者との連携等の「コーディネート機能」が求められます。
これらの機能・役割を果たすためには;
①体系的かつ詳細な知識、
②適切かつ安定的なスキル
③思考・行動特性
を有していることが必要とされ、指導者にふさわしい能力が求められます。
またキャリアコンサルティングの主要な対象領域である企業領域、教育機関領域、需給調整機関領域のうち複数の領域の課題解決ができる専門性、自己研鑽の観点から継続的に学習する姿勢、他のキャリアコンサルタントを指導する立場のキャリアコンサルタントとしての適性も求められます。
指導レベルのキャリアコンサルタントを判定するための1級技能検定が把握する能力として、具体的に以下のような要件が上げられています。
1.キャリアコンサルティング能力
キャリアコンサルティングは、キャリアに関する課題・問題を解決するために行われる相談・支援であり、「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施されるその他の支援」ですが、指導者レベルでは、熟練レベルより高い水準のキャリアコンサルティング能力が求められます。
2.指導能力
指導者レベルでは、他のキャリアコンサルタントを指導する能力が必須となります。現場で期待される指導ニーズとしては、キャリアコンサルティングの実施が困難なケースについて「相談を受けられる」、「アドバイスを受けられる」等があり、このような現場のキャリアコンサルタントからの相談に対して、的確な指導・アドバイスを行うことが求められます。
3.コーディネート能力
組織に対する働きかけや関係者との連携等ができる能力です。領域間の連携、専門家へのリファーだけでなく、企業内の能力開発制度やプログラム、教育機関のキャリア教育プログラムの設計・運営・評価等ができる能力が必要です。
4.思考・行動特性
ここでいう思考・行動特性とは、知識やスキルという観点のみでは表しきれない「必要な知識やスキルを総合的かつ効果的に使いこなし、クライエントへの返答や接する態度等に表される思考・行動特性」です。特に、指導レベルでは指導能力、コーディネート能力に関する思考・行動特性が重視されます。
以上が「指導者レベルのキャリアコンサルタント」に求められる能力です。
(つづく)A.K