キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

「労働安全衛生法」の改正項目を説明します

投稿日:2025年4月24日 更新日:

キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係る法律についてです。近年の働き方改革における種々の取り組みの一環としてで、働き方改革関連法で改正されましたが、その中の一つである「労働安全衛生法」の改正項目を説明します。キャリアコンサルタントには必須な労働法規の最新情報ということになります。

【労働安全衛生法】
改正項目
産業医の誠実な職務遂行、産業医への必要な情報提供が新設された。
産業医に対し労働者の労働時間その他、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供することが新設された。
事業者が勧告を受けたときは、勧告の内容などを衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する義務があることが改正された。
労働者からの健康相談に応じて適切に対応するために必要な体制整備その他必要な措置を講ずるように努めることが新設された。
厚生労働省令で定める時間を超える労働者に対して、医師による面接指導を行なうことが新設された。
産業医を選任した事業者は、産業医の業務に関する事項を、常時各作業場の見やすい場所に掲示するなどして労働者に周知知させることが新設された。

下記条文のアンダーラインは働き方改革関連法により新設された条文、影響ある変更のあった条文です。

(目的)
第一条 この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(事業者等の責務)
第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

第四条 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。

(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。

(安全管理者)
第十一条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

(衛生管理者)
第十二条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

(産業医等)
第十三条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。
 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。
6 事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

第十三条の三 事業者は、産業医又は前条第一項に規定する者による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医又は同項に規定する者が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

(つづく)木下 昭

 

-国家試験

執筆者:

関連記事

キャリアコンサルタント養成講座 12日間受講体験記 4 

Aさんの「キャリコンサルタント養成講座」受講奮闘記をお伝えしています。 Aさんは中小企業に勤めている小学生と4歳半の子供をもつ女性ですが、ある事をきっかけに「キャリコンサルタント」という資格を知りました。厚生労働省の国家資格であること、企業の中で人間関係の相談に乗ってあげられる力を付けられることなどを知り、どこかの「キャリコンサルタント養成講座」を受けたいとNetで多くの「キャリコンサルタント養成講座」を調べました。 その結果テクノファの「キャリコンサルタント養成講座」が自分に合うのではないかと思い、3か月にわたる12日間「キャリコンサルタント養成講座」講座を受講することに決めました。決めた理 …

面接場面の再現 その1

今回はキャリアコンサルタント国家試験を受けた経験をN.A氏に語っていただきました。 【面接場面の再現】 クライエントの方と向き合いと、クライエントの方が首から下げていた名札をひっくり返して係員から氏名が書かれた表記になった。おそらく本名が書かれているのだろう。下の名前も書かれていた。 オープニングの挨拶はクライエントの方も主体的にしてくれる。こちらが話しかけないと何も言ってくれない、という感じではなくホッとした。 ようこそ相談にお越しくださいました、と私の方から始め、守秘義務のことも伝えた上で、さあお話お聞かせいただけませんか、と言ってスタート。 ここでちょっと間があった。えっ、始めていいんで …

労働環境の整備について2

キャリアコンサルタントが知っていると有益な情報をお伝えします。 前回に続き、労働環境の整備についてお話しします。労働環境とは、会社で働く従業員を取り巻く環境のことです。事業者には、従業員の健康や安全を守るため、労働環境を整える義務があります。「労働安全衛生法第3条の1」に、以下のように記されています。「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」労働環境の整備は、従業員の定着や生産性の向上など企業の利益アップにつながるため非常に重要です。 ◆仕事と育児の両立支援策の推進 ■現状 育児・介護期は特に仕事と家庭の両立が困難である …

キャリアコンサルタント国家資格 I テクノファ

キャリアコンサルタント国家資格は、厚生労働省が定めるキャリアコンサルタントに関する国家資格試験に合格し、登録する必要があります。 日本の国家資格には次の4種類がありますが、上(業務独占資格)の拘束力が一番強く下へ行くほど拘束力は弱くなります。 ・業務独占資格 ・名称独占資格 ・設置義務資格 ・技能検定 それぞれについて説明をします。 ・業務独占資格 医師、看護師、診療放射線技師などが該当します。資格を持っている人だけが、独占的にその仕事を行うことができます。 ・名称独占資格 キャリアコンサルタント(標準レベル)、栄養士、保育士、保健師、作業療法士などが該当します。資格を持っている人だけが、その …

2級キャリアコンサルティング技能検定の合格レベル2

2級コンサルティング技能士検定の試験について前回の続きです。前回も説明しましたが、実技(面接)試験の詳細についてお話しします。 面接試験は、口ールプレイ形式の面接20分と、その後の口頭試問10分で構成されています。 ■試験官2名の前で口ールプレイ形式の面接を行う 面接試験は、まず、ロールプレイ形式で始まります。試験官2名を前に、相談者役の人と20分間の面接を行います。相談者候補の相談内容、簡単なプロフィールなどの相談ケースは、受検票などと一緒に送られてきます(送られた5ケース の中から1ケース出題されます)。当日どのケースの相談者と面接をするかは、面接室に入るまでわかりません。面接室に入った後 …