キャリアコンサルタントの知恵袋 | 株式会社テクノファ

実践に強いキャリアコンサルタントになるなら

国家試験

キャリコンサルタント国家試験合格3

投稿日:2025年3月15日 更新日:

キャリアコンサルタント国家試験合格の続きです。

【合格後の回想】
合格したはいいが、ロールプレイでどうしても、「もやもやしたもの」が残る。自分の中で整理がつかない部分として、もしクライエントがある時期専業主婦であったとしても再就職を考えるにおいては、ハローワークへ行くことや人材派遣会社への登録をするという行動をとることすらしていないことはないのではないか、という思いである。このあたりがやはり自分の「めがね」で見て相手を決めつけてしまう、という矯正すべき部分と言えるのではないか。そのように考えると、外資系ということにこだわることはむしろ面談進行上はマイナスの効果を生むだけなのかもしれない。

もう一つはホテルにおけるフロント業務についてである。ここも多少は仕事内容の想定が出来ているため、特に深く突っ込むことなく、話を進めてしまったが、ホテルのフロントはホテルの顔ともいえる大事な仕事。リピーター顧客の顔を覚えたり、外資系の場合であればコンシェルジェがいることから分業体制はあるはずだろうが、あらゆる顧客とのフェーストゥフェースでの対応を求められる仕事であることから必要とされる知識も多岐にわたる。その点を「重要な、そして重責を担う仕事を5年もされてきたのですね」というようなコメントを返していれば話の展開もずいぶんと違うものになっていたのかもしれない、という思いになってきた。終了直後の段階ではそのようなことは全く考えなかったが、こうやって点数がついた結果が戻ってくると、やはり試験当日何とも不安に感じていた部分がこれだったのだな、ということがようやくわかってきた気がする。

クライエントのことをキャリアコンサルタントの自分自身が理解しよう、という意識は強く持っていたわけだが、クライエント自身が自分のことを振り返る、そして肯定するようなコメントはほとんど返していなかったということだったかもしれない。今改めて考えてみると、PCは苦手で接客業務の方が、という話が出てきた際にもここに入っていくチャンスがあったかもしれない。接客業務は絶対嫌だという人も世の中に入るわけで、そのような中で接客業務の方が、という思いの裏には、やはり結婚前にホテルで働いていた時の経験と自信があるからと考えられる。そのあたりをついつい、「ではどのような仕事が良いでしょうかね」という結論を導き出すことに意識が向いてしまったことで、どうしてそのような考えを持つに至ったのか、そしてその背後にある不安、心配に意識を向けることは全くと言ってよいほど出来ていなかった。

キャリアコンサルタントとしてこの辺りを聴くことによって、クライエント自身の過去への自己肯定感を増すことにつながったのではないだろうか、と改めて感じている。するとホテルは早朝勤務があるから無理、というクライエントの自己判断も、本当にそのまま受け入れてしまったよかったのか、という気づきが出てきた。確かに昔はそうであったかもしれないが、時代はどんどん移り変わっている。有能な人材であれば会社のルールを変更してでも受け入れる、という可能性は昔とは比較にならないほど高くなっている今、はなからホテル業界を諦めて就職先を探す、という認識のもとに今回の面接を進めたわけだが、これも誤った対応だった気がしてくる。そもそも元の職場に復帰する、という可能性についても、まったく無いわけではないはずで、その点についても確認は出来ていない。普段の状況であればきっとその質問はしているはず、とあとから考えると思うのだが、やはりそこは試験の場。目に見えない緊張にさらされているからであろうか、当日のあの場では全くそのような発想を持つことができなかった。

このようなクライエント自身のそれまでの経験を肯定し、承認するようなやり取りをしていれば、少なくとも15分の面接時間の中で、結論を言いたくなるような状況にはならなかったはずである。当たり前と言えば当たり前であるが、たった15分の面接でその人のことを十分に理解して、このようにしていけばよい、というアドバイスをすることは通例考えるにおいては不可能であろう。それがそのような状況になりかかると共に自己満足感を感じているようではやはりキャリアコンサルタントとしての修行が足りない、ということだ。

具体的なやりたい仕事のイメージが出てこない、というあたりも、面接の場までに相当に悩み考えてきた人であれば、何かをきっかけとして一気に考えが深まる可能性はあるのかもしれないが、そのような人は世の中では少数派であろうから、それを考えればそのあたりのプロセスはもっとじっくりと進めて行かなければならないはずである。

口頭試問のところで出てきた「クライエントがすぐさま仕事に就かなければいけない、という状況に追い込まれているわけではないことから、自己分析等をゆっくりしすぎると仕事をする、ということへの意欲が減退するリスクがある」という自分の判断に基づくコメントについても、当たっている可能性はあるが、メインストリームからはだいぶそれてしまっている理解、解釈という気がしてくる。どのように進めるべきであったか、という明快なイメージが出てくるわけではないが、いずれにしてももっとクライエントに自分自身を見つめてもらう、考えてもらうということをしてもらうための応答が必要であったことは間違いない。

クライエントの成長につながる面接をしてください、という試験実施要領の受け止め方が浅かったということである。そしてまた、まだまだ傾聴ということの研鑽が足りない、ということであろう。ようやく面接における本当の難しさを感じ始めた、ということかもしれない。

CC協議会 キャリアコンサルタント試験(国家資格)

(つづく)T.A

-国家試験

執筆者:

関連記事

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律

キャリアコンサルタント国家試験に役立つ法整備について勉強しましょう。 キャリアコンサルタントのキャリアコンサルティング業務に係る法整備について厚生労働省の資料を参考に説明します。 働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じるために、関係する法令を整備するために、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)が2018年7月に公布され、関連する法律が順次施行されています。これにより人々の働き方、生活はいま …

キャリコンサルタント国家試験合格2

キャリアコンサルタント国家試験合格の続きです。 【試験結果を受け取って】 さあそしていよいよキャリアコンサルタント国家試験の合格発表の日。 まずはウェブサイトで発表がある。それなりの緊張感の中、サイトを見ると、筆記試験と実技試験で分かれている。 まずは筆記試験。これは自己採点で極めてギリギリながら大丈夫と判断しているのでそれほど心配なくPDFを開いていく。無事自分の受験番号を発見。 そして実技。さあこちらはと思って別のPDFファイルを開いていく。こちらも無事受験番号発見。正直ほっとした。 今回は一(イチ)・チャレンジャーの立場ではあるのだが、関係各所に相談を色々としていることもあり、落ちるわけ …

キャリコンサルタント国家試験合格

今回はキャリアコンサルタント国家試験合格のための面接試験についてキャリアコンサルタント国家試験を受けた経験をN.A氏に語っていただきます。 【面接場面の再現】 著作権の問題があるため、簡単な再現とさせて頂く。全体を通して質問された内容は、今実施した自分の面接を振り返ってどのように自己評価するか、という点である。 今回の自己評価では、途中キャリアコンサルタント役として明らかに失敗したと思う。「仕事にいつごろから就きたいか?6か月後ぐらいまでにはという感じか?」とオープンクエッションではなく、決めつけるような言い方をしてしまった部分がすぐさま頭に思い浮かんでこなかった。 自分では時間の中では十分な …

面接場面の再現 その2

今回はキャリアコンサルタント国家試験を受けた経験をN.A氏に語っていただきました。 【面接場面の再現】 (前回に続き、ロールプレイの回想が述べられます) ここは反省。 オープンクエッションで通すべきところだったという反省である。こちらから決めつけるような質問をしてしまったということで、当然かもしれないが、この時のクライエントの反応は、「はい」でも「いいえ」でもなく、「ふーん」という感じだった。自分でもじれていたのを感じながらの続行だったわけである。 私の場合、どうしても抜け切れない癖というべきかこだわりというか、あるいは自分の価値観の押し付けというべきか。人に相談に来るのであれば、いつ頃までに …

キャリアコンサルタント国家資格 2 I テクノファ

厚生労働省のキャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件の説明をしています。前回は、「Ⅱキャリアコンサルティングを行うために必要な知識、11.個人の多様な特性の知識」まで説明しました。今回は、「Ⅲ キャリアコンサルティングを行うために必要な技能、1.基本的な技能、(1)カウンセリングの技能」から説明を続けます。 Ⅲ キャリアコンサルティングを行うために必要な技能 1.基本的な技能 (1)カウンセリングの技能 ・カウンセリングの進め方を体系的に理解したうえで、キャリアコンサルタントとして、相談者に対する受容的・共感的な態度及び誠実な態度を維持しつつ、様々なカウンセリングの理論とスキルを用い …